徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

端唄 さのさ 考

2014-01-23 16:10:20 | 音楽芸能
 数ある端唄の中で僕が最初に知ったのが「さのさ」。江利チエミさんが歌う「さのさ」をNHK紅白歌合戦で見たのが昭和33年(1958)だった。だから今でも端唄と聞いてまず思い出すのは「さのさ」である。今日では江戸端唄の一つとして紹介されることが多いが、もとは江戸時代末期に中国から長崎の出島に伝わった明清楽の一つ「九連環」が日本風にアレンジされて「法界節」となり、さらに庶民に親しみやすい端唄として「さのさ」に変化したもの。花柳界で盛んに唄われ始めたのは明治30年代になってからだそうだ。
 この「さのさ」の歌詞は無数にある。というのは即興で歌詞をつけて歌うことを粋としていたので、当然、歌詞は歌った人の数ほどあり、中には夏目漱石の「坊っちゃん」に出てくるような英語混じりのハイカラな歌詞まであったようだ。下の“ザ・わらべ”が踊る「さのさ」は一昨年他界された端唄・小唄の名人、神田福丸さんのバージョン。上品で切れも良く何度聴いてもあきない名唱だ。