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永子の窓

趣味の世界

源氏物語を読んできて(31)

2008年04月26日 | Weblog
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【紅葉賀】の巻 (2)

 紫の上は犬君(いぬき)を相手に雛遊びに余念がありません。この頃の雛遊びとは、御殿に人形を配したり、物語りしながら遊んだようです。

 少納言は、「十に余りぬる人は、雛遊びは忌み侍るものを、かく御夫などまうけ奉り給ひては、あるべかしう しめやかにてこそ」
――十歳をすぎたのですから、雛遊びなどよくないと、避けますのに。こうして御夫君をお持ちになったからには、奥様らしく落ち着いて――などと言います。

 侍女たちは、源氏と共寝をされている紫の上が、まさか、まだ清らかなままでいらっしゃるとは思わず、そう言ったのでした。

 女房たちの話に、紫の上は「われはさは夫まうけてけり、この人々の夫とてあるは、醜くこそあれ、われはかくをかしげに若き人をも持たりけるかな、と、今ぞ思ほし知りける」
――私は、では、夫を持ったのだわ、この人たちの夫は醜いけれど、私は綺麗で若い人を夫に持ったのだわ、と、この時そう思ったのでした――

  藤壺はその頃、里下がりをされていたので、源氏はまたお逢い出来ないものかと、窺い歩くのに夢中で、左大臣邸の葵の上にはご無沙汰、大殿(おおいどの=母君)に苦情を言われます。紫の上を探し取られた噂も面白くない。

それを聞いての源氏のこころ
「心うつくしく、例の人のやうにうらみ宣はば、われもうらなくうち語りて……。疵もなし、人よりさきに見奉りそめてしかば、……おだしく軽々しからぬ御心の程も、自ずからと頼まるる方は異なりけり」
――素直に、普通の人のように、恨み言でも仰るなら、私も正直に打ち明けて、お慰めもしましょうに。あなたの態度は別に不完全ではないし、他の婦人より先にお逢い申したのですから、私が大切に思う気持ちを何時かは思い直してくださるでしょう――

それにしても紫の上は穏やかで、重々しいご性格が他の方とは別格だ。

桐壺帝には、藤壺以前に入内されている弘徴殿女御(こきでんのにょうご)がおられました。帝が、源氏の母桐壺更衣を寵愛されたのをうらみ、ひどい嫌がらせをして、とうとう死期を早めたのでした。
弘徴殿女御という方は、右大臣の姫君で、お子様は東宮になっていますが、帝のご寵愛が藤壺に傾いている事への不安と、藤壺の懐妊で男子がお生まれになったら、東宮の立場も
あやしくなるので、気の安まることがなく、いらいらの日々を送っています。

 藤壺のお産が、予定の12月を過ぎても、正月を過ぎてもまだだというので、源氏はいよいよ、自分の子かと、かの時を思い合わされて、罪の深さに「かくはかなくては止みなむ、」
――源氏はこのまま藤壺が崩御され、自分との関係も絶えてしまうのか――

ではまた。

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