発表演奏会終了後の懇親会で、今回出演した合気柔術の達人、木村達雄氏と話すことができました。
昨年7月の秩父での合宿の時、「70歳からもっと強くなれる、これからです。私の師・佐川幸義先生がそうでしたから」と彼に聞かされたのが忘れられなかったからです。
紹介された大東流合気武術・佐川幸義氏(享年95歳)の生涯を書いた木村氏の著書『透明な力 不世出の武術家 佐川幸義』を買って読みました。佐川氏に触れたとたん数メートル吹っ飛んでいるなんていう話は目が点になるくらい。また、登場する人たちの稽古、鍛錬の量がハンパじゃありません。達人、名人といわれる人たちって、そうなんですね。
この本、修練という視点で読むと、金言の宝庫。非常に中身の濃い本です。
我が身に照らして、比ぶべくもない。
木村氏は、真剣による素振りを毎日3千回行う。
いったいどのくらいの時間で? と伺ったところ30分くらいとのこと。
一振り何秒
木村氏は席上、直木賞作家で剣豪小説も数々書いている津本陽氏はいま、実業之日本社の文芸Webマガジン「Webジェイ・ノベル」で、『深淵の色は 佐川幸義伝』を連載中で、連載第3話の25ページの終わりから26ページはじめにかけて、技術の習得に関して、和谷泰扶先生が登場します、と紹介してくれました。
「和谷先生に実際に教わると、もの凄い技術の集積に支えられていることが、はっきり分かります」 と木村氏に言わしめているわけです。
無料ですので、ぜひお読みください。
平凡な門下生であるぼくも「その通り」だと感じます。
音楽表現には技術が伴わなければなりません。その技術は日々の修練のたまものですが、怠け癖のある当方には溜息が出るばかり。
なお、津本氏には『孤塁の名人 ― 合気を極めた男・佐川幸義 』(文春文庫、現在入手不可)という『透明な力』が下敷きになったと思われる著書がありますが、この『深淵の色は』は、木村氏を通してみた佐川幸義の生涯ともいえるかたちの本になっています。
それにしても、
「70歳から上手くなる」
には勇気をいただきました。
「歳を取ってもまだまだ上手くなれる」という希望が湧いてきて、これからのぼくのテーマになりました。
(じつに楽観的だなと言う、もう一人の自分がいますけど)
さ、練習しよ。
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