生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

生命:生死と物物間相互作用

2010年08月10日 23時56分15秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-7
生命:生死と物物間相互作用

 わたしは、『生物哲学の基礎』の訳者あとがきに、
  「本書でたびたび述べられているように,議論が混迷する源として,ものごとの種類と程度を無視するということがある.本書では生物は生きているか死んでいるかのどちらかであると主張するが,ここでも種類と程度を考えることは可能であろう.たとえば,ある時間では生きているが,他の時間では(生物体としての同一性が問題になるにせよ,死んではおらず,しかし)生きていないと捉えることができるし,生命活動の種類と程度があると考えれば,たとえばバクテリオ・ファージなどや,さらには成長する結晶も生物だとすることができよう.さらに,物や性質とはそもそも何かを追及すれば,物活論的唯物論を構想できるだろう.この世界には物々間相互作用(これこそメカニズムをわれわれに想定させるものではないか)があるのみで,物自体が生きていることになり,そのようにして生物も「非」生物も統一的に捉えることができるかもしれない.」(508頁)。

と書いた。

 緩歩動物のクマムシという実例。

  「クリプトビオシス(cryptobiosis '隠された生命活動'の意)とは、クマムシなどの動物が乾燥などの厳しい環境に対して、活動を停止する無代謝状態のことを言う。水分などが供給されると復活して活動を開始する。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%93%E3%82%AA%E3%82%B7%E3%82%B9)

  「完全な休眠状態になる。……この現象が、「一旦死んだものが蘇生している」のか、それとも「死んでいるように見える」だけなのかについて、長い論争があった。現在ではこのような状態を、クリプトビオシスと呼ぶようになり、「死んでいるように見える」だけであることが分かっている。乾眠(anhydrobiosis)はクリプトビオシスの一例である。」(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%A9%E6%AD%A9%E5%8B%95%E7%89%A9)

 生きているという状態の判断基準として、代謝活動が見られるかどうか、を採用すると、クリプトビオシスのときには、その生物体は生きている状態ではないことになる。にもかかわらず、水分を与えれば動き回るようになるならば、その状態は生きているとみなすことになる。一度生きていない状態(この状態を、死んでいる状態とは区別することにしよう)になっても、生きている状態になることは可能である。一度死んでいる状態になれば、生きている状態にはならないのだろうか? いわば生命活動が復活することは、ほとんど観測されない。むしろ、一度死ねば生き返ることは無いと、死亡の定義が不可逆性を含意するところといってもよいかも。しかしそれは、観測的な判断だろう。生命活動が一度停止して、再開することを妨げることは無い。その生物体は代謝がゼロになっても、死なかったのであり、再び代謝などの(生物体システムが『持つ』)メカニズムが起動して、生命活動を再開したと考えられる。もし、一切の活動が停止した状態を死んでいる状態だと定義しても、また生きている状態になることは禁止されない。
 要するに、構成要素の物質の振る舞い自体は、生死とは関わりない(とみなされている)。生命活動が諸物物間の作用によって起きているとするならば、物物間作用が環境からの刺激に応答するようなシステムの制御メカニズムの解明が重要である。とりわけ、それらの作用過程における種々の力の種類と程度、そしてその結果がどうなるのか、である。それらを線図〔略図〕diagramで表示すること。
 あるいは、いかなる物体であれ、作用していることが生きている、と定義してもよい。
 あるいは、生物体全体としての生死は、別の問題であるのか。
 トレハロース!
 臨死状態はどうなのか。


 なお、イエスが死んで復活したという(観測上からは例外的な)言い伝えもある。トリノの聖骸布(Turin Shroud)にネガ状に転写されているように見える全身像のようなものは、いかにしてできたのか。

美術修行20100808

2010年08月10日 22時51分36秒 | 美術/絵画
2010年8月10日-6
美術修行20100808

美術修行2010年8月8日(日)
 ネイチャー・センス展:吉岡徳仁、篠田太郎、栗林 隆/森美術館53階。
 六本木。恐竜展には列を作っている。親子連れ多し。日曜日だしね。
 したがって、恐竜展との二つなら割引きでお得だが、一つだけにする。

 篠田太郎「銀河」/第7室。
 さっと通り過ぎるとわからない。しばらく天井を見ていても、なにも起こらないように思える。よくよく見ればひょっとして、星座らしい、あ、これは北斗七星だと気づくかもしれない。係員の人に教えてもらってわかった。25秒ごとに天井にしつらえられたペットボトルのような容器から液滴が落ちると、一瞬波紋が広がるとのこと。
 しかし、設置された大きな容器の円面の媒体を変えるなどして、もっとゆっくりと、また深みをもって広がるようにしてほしいところ。
 さらに、落下する液滴に色をつけたらもっと面白くなるのではないか。あるいは、藍のなかに白が広がっていくとか。


 TWS-Emerging 141/142/143/TWS本郷/最寄り駅はお茶の水。
 iPhoneでgoogleって、TWS本郷の番地を探すも、そのサイトではわからず。しかたなく、チラシを取り出して見て番地を打ち込む。行きすぎたようだ。
 なお昨日、都庁の3階のワンダーウォールを見ようとしたが、休みとのことだった。展望台に行くには、手荷物検査を受けなければならないらしい。

 順天堂大学病院の入口付近にある某ホテル直営らしいレストランにて、洋食ランチ1,575円。吹き抜けの受付階(2階)には、かなりの数の絵画が飾ってあった。

Bunge哲学辞典/ 進化主義 evolutionism

2010年08月10日 12時18分51秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-5
Bunge哲学辞典/ 進化主義 evolutionism

進化主義 evolutionism (BungeDic2, p.94)
 事実についてのあらゆる領域〔realm〕は↑【進化】の支配下にあるという、存在論的教義。ダーウィニズムを、すべての事実的科学へと拡張したものである。哲学的な原理であるから、進化的↑【生物学】と混同してはならない。進化生物学は、現代生物学の標準的構成要素である。進化主義によって、あらゆる物事は変化に従うだけでなく、ひょっとして種形成と種絶滅にもさらされることもあるとみなすことを研究者は享受したので、進化主義はすべての自然科学と社会科学を根本的に変形した。また進化主義は、静態的な存在論と認識論の最後の名残りを破壊することによって、哲学に対して決定的な影響を与えた。それは、どの制度も永遠ではないと示唆したから、改革論者と革命的な諸社会的イデオロギーを奨励したのである。そして、スペンサー Spencerの(生理的な)最適者の生き残りと優位性を明言するという間違った解釈のおかげで、進化主義はまた、優生学と人種差別やファシズムといった退行した信条を奨励した。

陰謀史観は原理的に成り立たないとしても、謀略は日常的

2010年08月10日 10時31分54秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-4
陰謀史観は原理的に成り立たないとしても、謀略は日常的

 御巣鷹山での日航機事故で亡くなった国会議員とは誰だろう(2名いるらしい)と検索していて、それはわからずじまいだったが、下記のようなサイトへ行ってしまった。
 マスコミの追求力は無きに等しくなってしまった現在。
 新聞もテレビも見ないことも多いので、沈没事件が起こったこともしばらく知らなかった。

「Cheonan号沈没の真実に関する……クリントン国務長官への手紙」
http://www.anatakara.com/petition/no-explosion-no-torpedo.html

自然による(しかし結局は人為?)原発へのテロあるいは戦争?

2010年08月10日 09時46分03秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-3
自然による(しかし結局は人為?)原発へのテロあるいは戦争?

 2010年8月10日の朝日新聞北海道支社版3面。

  「森林火災は、核関連施設も脅かしている。……爆発の危険のある放射性物質を「避難」させた。ウクライナの国境部では、1986年のチェルノブイリ原発事故で放射能汚染された森林に延焼しないよう消化態勢を強化している。」

 樹木が焼けると塵となって、それらに含まれる放射性物質が飛散するかもしれないということか?

光科学技術 light technology /個人注文再生医療/血管を厚くする

2010年08月10日 09時32分54秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-2
光科学技術 light technology /個人注文再生医療/血管を厚くする

 2010年8月10日の朝日新聞北海道支社版24面に、「血管 青い光で丈夫に再生:体内照射で厚み10倍」という記事あり。
 イヌの皮膚の下に、アクリル製の筒を埋め込んで血管と弁を作らせる際に、筒の中にLEDを入れて3日間青い(波長は?)光をあてたら、(そうしなければ厚さ0.1mmとなるところが)血管は1か月で厚さ1mmになった(よって、丈夫なのができた)。
 血管が厚くなったのは、弾性のある蛋白質であるエラスチンが豊富に含まれていたからとのこと。「光で、〔弾性のある蛋白質である〕エラスチンができる体の仕組みがあるようだ。」

 したがって、再生ないしは発生において、光制御が可能であり、ゆえに普通の再生や発生においても、光が関わっているのではないかと、推察できる。
 ここでは青い光の持続的な照射による制御。
 人工透析器で血液循環させて、フェムト秒長のパルス光を照射すれば、血液から肝炎ウイルスをかなりまで撃退できる。
 実験結果を報告した論文についての覚書はどこへいったっけ?

  「フェムト秒とは時間の単位で、1000兆分の1秒を表わします。光は1秒間に地球を7周半しますが、その光が1フェムト秒間に進む距離はわずか0.3ミクロン。これはウイルス、CDのピット幅、トランジスタのゲート長のスケールです。」(http://cybervisionz.jugem.jp/?eid=33)

  「C型肝炎の患者の血液を外部迂回させて血液(のウイルス)に100フェムト秒レーザーのパルスを照射してやると、パルスはウイルスを機械的に振動させて破壊するそうです。」(http://oriharu.net/jaids.htm)

ネオ・ダーウィニズムを却下/『オックスフォード・サイエンス・ガイド』

2010年08月10日 01時28分47秒 | 生命生物生活哲学
2010年8月10日-1
ネオ・ダーウィニズムを却下/『オックスフォード・サイエンス・ガイド』


 暗黒物質と暗黒エネルギーの項目があるので、『オックスフォード・サイエンス・ガイド』を見た後、進化とかの項目もあったので、それらを少し見た。Nigel Calderはあっさりと、(ドーキンスはもちろんだが、)ネオ・ダーウィニズムを却下していた。止め的にダーウィンの『種の起源』の最終版からの引用もしている。

 関連項目。進化、進化する分子、有望な怪物、シロイヌナズナ、カンブリアの爆発、プロテオーム、

 要は、分子と結びついた発生学の進展。
 トランスポゾン transposon 〔"jumping genes"〕、進化的遺伝子、メチル化、タグ、〔水平伝達〕
 木村の分子進化中立説、Barbara McClintock マクリントック、角谷徹二(シロイヌナズナ)、Lindquist(ショウジョウバエ)、線虫、有望な怪物 hopeful monsters、


ノオト:
 染色体への組み込みと、種システムへの組み込みの問題。効果のtime delay。

 Lo/vtrup (1987)による、跳躍主義saltationism陣営の名簿。

 日本エピジェネティクス研究会というのがあるようだ。


[C]
*コールダー,ナイジェル.2002.(屋代通子訳 2007.4)オックスフォード・サイエンス・ガイド.809頁.築地書館.[Oc] [y25,200] [Calder, Nigel.] [ISBN: 9784806713197]

[L]
Lo/vtrup, S. 1987. Darwinism: the Refutation of a Myth. x+469pp. Croom Helm.