Francis Albert Sinatra and Antonio Carlos Jobim/Frank Sinatra
(Repries FS-1021)
Columbia時代,Capitol時代そして最も後期になるRepries時代とシナトラは年代に応じてそのダンディズムを常に掲げて来たアメリカ
が誇る世界のエンタータイナーです。彼についてはもう熱狂的なファンもおられるので自分が語るには役不足である事は100も承知です。Columbia,
Capitolにいわゆる名盤が多いのは衆知のとおりで,Repries時代になると音楽の多様化もあり彼の作品の中でもこれぞ名盤というのは少なくなっ
ていくように思います。そんな中で,このJobimとの共演盤はシナトラのボッサへの挑戦、そしてブラジル音楽であるボッサを自分なりに消化した一つの形
としてアルバムにした事で、出来について賛否のあるところでしょうがRepriesの中でも重要な作品だろうと思います。
ボッサについてはガットギターの響きと通常はアンニュイな感じの起伏のないソフトなボーカルが一般的と思います。シナトラが唄うと,やや堅いかわいた感
じのボーカルになり一聴ミスマッチのように思えるのですが,何度も聴いてるとこれが良くなってくるから不思議ですよね。確かに,ボサノバの本来の姿ではな
いかもしれないですがシナトラ風ボッサの真骨頂がここにはあると思います。Jobimが共演し彼がギターを弾いて,さらにボーカルまで披露しておりシナト
ラの計算されたアルバム造りが垣間見えます。バックのクラウス・オガーマン然りですよね。
言うまでもなくイパネマではじまるこのアルバムですが,ジルベルト夫妻の決定的名演が耳についていて,最初はどうしても硬質な感がしてなじめなかったのですが,何度も聴くにつれシナトラワールドの素晴らしさにどんどん引き込まれていきました。
この
ビデオクリップをみて欲しいですね。
ジョビンとシナトラの掛け合いが充分に楽しめ、コルコバードから最後のイパネマまでシナトラボッサの魅力を再認識できると思います。
すばらしい!!!