Waltz For Debby/Bill Evans
(Riverside 9399 jp.reissue)
(Riverside 9399 jp.reissue)
たぶん初めてエヴァンスを聴いたのはマイルスの"Kind Of Blue"であったと思います。もう30年以上も前ですね。当時はジャズレコードは所有枚数も10枚に満たないころでした。このアルバムでピアノはWynton Kellyとエヴァンスが担当していますが、A-2の"Freddie Freeloader"のコロコロと転がるピアノに見せられていた自分は少ない音数で耽美的な表現で絡むエヴァンスが全く理解できなかった記憶がありますね。当時はクラーク、ケリー、ガーランド、トミフラとスウィンギーなピアノばかりを聴いて増したので、このワルツフォーデビーを買ったときも、頭のなかはファンキー、グルービーでいっぱいで、全くピンと来ていませんでした。
のちに"Explorations"を購入して都会の朝をイメージを抱いてからこのクールな白人ピアニストへの思いが一変しました。OPのピアノに代表されるようなピアニストがロコモーティヴのようにぐいぐい牽引していくトリオではなくて、ベースのラファロと絶妙な絡みを見せながら進んでいくトリオの演奏は美しく何とも言えない翳りや陰影が深くそのすばらしさに完全にはまりました。でも、決して初心者に簡単じゃないはずです。少なくともジャズビギナーの67camper的には容易に理解できる代物じゃなかったと思います。唯一、場内の喧噪や食器のふれあう音が聞こえライブの雰囲気がうまく収録されたデビーのワルツで当時のジャズクラブでのライブへの思いが募ったのを記憶しています。
演奏曲については"My Foolish Heart", "Waltz For Debby", "My Romance"などはもう語り尽くされていますし、メンバーもラファロ、モチアンのいわゆる最強トリオの時代の演奏です。ラファロの数少ない録音であり、上記3曲でのラファロとエアヴァンスとのインタプレイが再大の聞き物でしょうが、B面ラストに収録されたMilestonesでのモチアンのプレイが好きですね。特に、間を生かし、ときに2人をあおり絡んでいくモチアンのドラムは、それまでマイルスのこのヴァージョンしか知らなかった自分にはとても新鮮だったし、未だによくターンテーブルに載せてます。こういった超有名盤では絶対的にどちらか一方になりがちですが、両面ともよく聴く数少ないアルバムですね。所有盤は当然のビクターからの国内盤再発ですけどね。