Tune Up!/Sony Stitt
(Cobblestone K26-P-6202 Jp.reissue)
(Cobblestone K26-P-6202 Jp.reissue)
ソニー・スティットはパーカーの模倣といわれ一時期アルトサックスを控えるようになったとも言われていますよね。特にパーカーが天に召された後、スティットはアルトを吹く事が多くなったように思います。スティットは1982年7月11日、日本公演のために来日したようですが、皮膚がんの悪化でほとんど吹奏することが出来なかったと言います。7月17日脳転移が見つかり翌日には帰国し、7月22日に死亡したと言いますから、こんな時期に来日してステージに立とうとしたスティットのプロ意識には脱帽ですね。実際は指が動かなかったと言いますから、彼のライブの中でも最も悲しいものであった事は想像に難くないですよね。最後の公演を現場で見られた方もおられると思いますが、ある意味壮絶な公演を目の当たりにしたのだろうと思います。本日はこの公演の10年前の72年、最高のメンバーで吹き込まれたスティット後期の名盤とも言うべきTune-Up!をアップいたします。
スティットはここではテナー、アルト両方を駆使して昔からの十八番とも言うべきスタンダードを演奏しています。ワンホーンのカルテットでリズムはBarry Harris(p), Sam Jones(b), Alan Dawson(ds)で、当時としてはこれ以上を望むべくもない人選だと思います。A面冒頭がタイトル曲、マイルスの作品の"Tune-up!"です。テナーで吹奏されますが堂々たるテナーはさすが名手と思わせるトラックです。続く"I Can't Get Started"のアルトがけれんみがなく好ましいですよね。B面トップの"Blues For Press And Bird"でこういうブルースは彼の最も得意とする所ですよね。こういった演奏でのハリスのピアノはブルージーでいいですよねぇ。続く"Groovin' High"のスティットのアルトもいいですね、得意の"チャラリラリラリラ”を連発です。最後は"I Got Rhythm"で締めくくられる構成です。
原盤はコブルストーン、もちろん自分のLPは国内再発盤です。ドン・シュリッテンのカバー写もなかなかいかしてますよね。後期スティットの名盤にふさわしい出来映えですよね。