How Long Has This Been Going On?/Sarah Vaughan
(Pablo MTF1100 jp.reissue)
(Pablo MTF1100 jp.reissue)
グランツが主催するパブロのボーカルでは,なんと言ってもエラの秀逸なアルバム群が思い浮かびますよね。でも,対抗馬のサラ・ボーンの円熟味を増した,ふくよかでスリリングなボーカルも忘れ難いですよね。サラで言えば,"With Clifford Brown"の次に購入したアルバムで,リアルタイムで新譜としてSJ誌にも紹介されたときにGETした思い出深いアルバムです。
メンバーは邦題に「&オスカー・ピーターソン・ビッグ4」というように油ののりきったサイドメンのサポートも完璧です。ビッグ4とはOscar Peterson(p), Joe Pass(g), Ray Brown(b), Louis Bellson(ds)の4人です。全曲スタンダードでA面冒頭の"I've Got The World On A String"からリスナーは彼女の世界に引きこまれるにちがいない。サラのスリリングで明るい表現は彼女ならではの快唱ですね。つづく"MIdnight Sun"のディープな声とエモーショナルながらデリケートな表現がいいですね。個人的にはB面の5曲のうち"More Than You Know", “My Old Flame", "Body And Soul", "When Your Lover Has Gone"の4曲がメンバーとのデュオで占められています。このデュオというフォーマットでのスリリングな展開は新鮮だし,いずれも甲乙つけ難い出来ですね。勿論ピアノやギターとのデュオはまだ予想がつくし,ジョー・パスはエラとのデュオで実績は折り紙付きですよね。ベースとのデュオの"Body And Soul"とドラムとのデュオの"When Your Lover Has Gone"は意表をつく企画、展開で,サラは更に器楽的になり改めて彼女の偉大さを知るに違いない。
パブロの日本再発盤です。当時新譜で買った思い出の一枚です。後期のサラでは絶対はずせないし,当時の新録音のなかでも屈指のボーカルアルバムであろうと思います。