司法試験受験資格の見直しが始まる模様ですが,民主党内の法律の専門家を養成する制度の見直しを検討している作業チームが、本格的な議論を前に要点整理案をまとめ、その中で、法科大学院の修了を司法試験の受験資格としている制度を見直しの対象にする、との案を打ち出したようですね。
この作業チームとやらがどの程度の力を持っているのか分かりませんが,手続全体で見ると随分初歩段階ですし,大体民主党がいつまで持つか分かりません。消費税問題の方がはるかに重要でしょうし,現時点ではあまり気にするような問題ではないなというのが正直な感想。文部科学省や大学側からの猛烈な圧力もかかるでしょうし,制度全体を動かすことになるので,時間は相当かかると思います。
ま,法科大学院を無くすのか無くさないのか,無くさないとしたらどういう位置づけにするのかが問題です。「法科大学院を卒業したら短答免除」なんて実際には一番矛盾した特典になります。思考としても短絡的に過ぎる。
何故なら,法科大学院では,そのような短答についての特殊訓練を行っているわけではないからです(寧ろ何もしていない)。免除対象につき,スキルアップしていると言えるからこそ「免除」されるのであり,これでは,何か特典がないと拙いから,2年行けば,短答免除がもらえる,という形式論にしかならない。法科大学院を卒業したら,司法試験自体を免除にする,くらいじゃないと意味がない。
また,「前期修習」を復活させるのかどうかという問題も出てきます(財務省が渋るのは目に見えています)。「プロセス重視」という「お題目」自体は争えないので,法科大学院を無くした場合の「プロセス重視」をどういう代替案で実現するのかは難しいですね。これを打ち出せなければ,法科大学院の質を上げるといういつもの議論になるような気もします。
理念自体は良いので(笑),代替手段を捜すことができるかどうかが,大きなポイントになるんでしょう。しかし迷走してますねぇ。