読みやすい答案

2014-03-07 18:11:25 | 司法試験関連

自分の答案を読み返す際に,「主語述語が対応しているか」,「主語が何か明確か」,「指示語の内容が明確に読み取れるか」,「自分の設定した問いに応えているか」,「規範で挙げた考慮要素につき全て当てはめた上で結論を出しているか」などの「形式面」の確認をすると良いと思います。

頭では分かっていても,書き進めるうちにこれらの要素が不十分になってしまうことが往々にしてあるからです。意外に見受けられるのが主語がハッキリしないというものです。大事なことは,第三者たる読み手が読み取れるかどうかであって,「自分はこういうつもりで書いた」というのは主張自体失当です。読みにくい答案,論旨不明瞭な答案という低評価になります。

第6回の刑事訴訟法の身柄拘束の違法性如何など典型です。「逮捕状に基づく逮捕が違法かどうか→逮捕状の疎明資料は違法収集証拠になっていないか→疎明資料の収集手続は別件捜索差押ではなかったか」,という形で論点が入れ子構造になっています。そのため,まずガツッと書くのは捜索差押の適法性如何なのですが,別件捜索差押か検討した後に,「したがって,本件捜索差押は違法であると考える。よって,違法である」と書いてしまうと,「よって違法である」のは「何か」と言えば,素直に読めば「本件捜索差押」になります。これを「本件逮捕がよって違法である」と読んでくれる人はまぁ,いないでしょう。だとするとこの答案は,身柄拘束の違法如何という設問に形式的に応えていない形で終わっていることになってしまいます。これは極端な例ですが,このような「端折り」は多くの人の答案で見かけます。

また,論旨不明瞭な答案や一読して分かりにくい答案の場合,どうしても読み返すことになりますが,この「読み返す」というのが受験生にとって曲者で,どうしても読み手はジックリ読んでしまいます。ジックリ読まれると,細かいところも読み込まれてしまう危険性があります。「何を言っているのか」と確認しながら読むので「本当にそう言えるか?」なんて厳し目に見てしまいます。そのため,ボロが出やすくなります。そう言う意味でも論旨不明瞭な読み返し必須の答案は危険なのです。

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「機械による記録」の場合の... | TOP | 東京大空襲 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。