話を戻して、「フェルメールの2点の『真珠』が上野に来訪中(その7)」のつづき、このシリーズの最終回です。
国立西洋美術館の常設展は、入ってすぐの「19世紀ホール:ロダンの彫刻」からスロープを昇り、2階に行くと、いよいよ本編、西洋絵画が時代順に展示されています。
その最初は「14-16世紀の絵画」なんですが、基本的に宗教画ばかりで、私にとってはかなり退屈
退屈なだけでなく、作品の展示が独特で、どの順番が推奨されているのかよく判りません。
あまり時間もないので、さっさと先に進みました。
と、宗教画にあまり興味を持てない私でも目を惹き付けられる作品に出会いました 17世紀にフィレンツェで活躍したカルロ・ドルチの「悲しみの聖母」です。
背景からの光に深く美しいラピスラズリの青が浮かび上がり、作品全体が光
を放っているような気がして、(キリスト教の)信心を持たない私にも「届く」作品でした。
これは「お持ち帰り」したかったナ…
こんな例外もありましたが、やはりなんとも退屈…。
このまま最後まで退屈が続くのかと思い、ちょっとがっかりしながら、ふと下を見ると、、、
あ~っ、ミロだぁ~
そりゃそうだ、「国立西洋美術館」と名乗る以上、近代~現代の作品だって持っているはずですよねぇ。
急に元気を回復した私、時間を惜しむように先に進みました。
そして、閉館時刻が近いことを告げる館内放送を耳にしながら19世紀以降の作品を鑑賞
さすがは「国立西洋美術館」、名品がそろっていました
シャヴァンヌの「貧しい漁夫」
とハンマースホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」
では、
2年前に国立新美術館で観た「オルセー美術館展2010」(記事はこちら)を思い出してしまいましたし(「貧しい漁夫」はオルセー美術館所蔵の作品と同じタイトル)、デュビュッフェの「ご婦人の体(「ぼさぼさ髪」)」は吹き出しそう
になるくらい楽しいし、
藤田嗣治の「坐る女」
は、最後には日本国籍を捨てたレオナール・フジタではあるけれど、やはり彼が日本人
であることを強烈に示しているし、
と、なんとも30分間しかいられなかったのが残念極まりない…
もっとも、これらの作品は国立西洋美術館のコレクションですから、その気になれば上野に行って鑑賞できます。
常設展だけなら420円で観られますしね
ところで、常設展のいくつかの作品には「Touch the Museum」の表示がありました。
「Touch the Museum」とは一体なんぞや
この“Touch the Museum”は、お手持ちのiPhone/iPod touch端末に事前にダウンロードしていただき、国立西洋美術館の常設展示室で実際にご利用いただくためのアプリケーションです。
いわゆる「音声ガイド」とは異なり、他の美術館に所蔵されている作品の画像や、NHKアーカイブスからの映像資料、さらに館長や研究員・建築史家による現場での解説などが収められています。指先で端末上の画像に触れることで、解説を視聴したい作品を容易にお選びいただけます。
“Touch the Museum”は、端末内の世界だけで完結するのではなく、実作品を目のまえにした鑑賞体験に役立つことを願って制作されています。このアプリケーションとともに、ぜひ国立西洋美術館にお越しください。
なのだそうな。
さっそく、帰宅するなり、愛用のiPod Touchに「Touch the Museum」をインストールしました。
サイズは247.3MBと結構デカイ
これというのも、学芸員さんほかによる動画解説まで入っているから
絶対にiPod touchを持って国立西洋美術館の常設展を観に行くぞ
と、固く心に誓うのでありました。
ちなみに、iPhone/iPod touch端末専用だった「Touch the Museum」、今年春からはAndroid端末用のアプリもリリースされたそうです。
詳しくはこちらをご参照くださいませ。
そうそう、iPhone/iPod touch端末用・Android端末用とも無料です
ということで、長々と書いてきた今回の上野訪問記はお終いです。
最後に、「教科書で見た」系のこちらの作品を載せておきましょう。
デュフィの「モーツァルト」です。大きさも手頃ですし、「お持ち帰り」したかったな…