『創』(2009年12月号)、12月に読了。
篠田博之編集長「実名本出版差し止めをめぐる論争 光市事件実名本をめぐり問われたことはなにか」(pp.26-27)。
増田美智子氏・寺澤有さん「実名本出版差し止めをめぐる論争 元少年の実像を描くため実名を揚げた本を出した」(pp.28-34)。尊敬する寺澤さんだったのに、この件に関してはやはり失望だし、ショック。理解に苦しむ。
浅野健一さん「実名本出版差し止めをめぐる論争 少年を顕名にして何になる――光市事件実名本出版の陥穽」(pp.36-41)。匿名報道の第一人者であり、本件についてもやはり寺澤さんよりも説得力を感じる。
綿井健陽さん「実名本出版差し止めをめぐる論争 取材者と取材対象者との関係性とは?」(pp.42-47)。この事件に深くかかわる綿井さんだからこそ、やはり説得力を感じるし、寺澤さんの行動をますます理解できなくなる。非常に残念。「報道やジャーナリズムに携わる者が、「言論・報道の自由」という言葉を抵抗手段として公に訴える場合は、それは対国家、対公権力に向けて使うべきだと私は考えている。/たとえばNHKの「ETV番組改編問題」のときの安倍晋三や故・中川昭一ら国会議員(当時)の対応、古くは毎日新聞西山太吉記者(当時)の沖縄返還密約記事での逮捕・有罪、最近では映画『靖国』上映中止問題のときに国会議員らが試写要求と文化庁に口出しや取材対象者に接触する行為など、これらは「言論・報道の自由」の問題として、それこそ良い意味での〝メディア・スクラム〟でもって対応すべき出来事だった。/それらと比べれば、今回の本が・・・」。
鈴木邦男さんの「明治精神と全共闘」(pp.72-75)。「・・・引き受け手のない公安事件や冤罪事件に取り組む弁護士は皆、全共闘世代だ。・・・また安田好弘弁護士はオウム、光市事件など、人のやらない弁護を引き受けている」。
香山リカさんの「「こころの時代」解体新書/加藤和彦氏と「激越型うつ病」」(pp.76-79)。ザ・フォーク・クルセイダース、サディスティック・ミカバンド。
【『創』(2009年12月号)】
森達也さん「極私的メディア論 第48回/リスクとハザード」(pp.80-83)。「マムシのハザード(毒性)は高い。でもリスク(危険度)は低い」。「リスクとハザードの混濁」。
中山千夏さん「母娘問題をひとびとはどう受け止めたのか/『幸子さんと私』への反響を考える」(pp.114-119)。
「永六輔[放送タレント]×矢崎泰久[元『話の特集』編集長]ぢぢ放談/第7回 国家なんて知らない」(p.120-127)。「「戦略」の上に「国家」をつける感覚」。「司馬遼太郎の歴史観をうのみにしてよいのか?」。
雨宮処凛さん「ドキュメント雨宮革命/第24回 湯浅さんが「国家戦略室」政策参与に」(pp.132-135)。組織のその名称はさておき、湯浅誠さんには期待。
山口正紀さん「「反論」に名を借りた新たな人権侵害」(pp.142-144)。「文春記事は、「ロス疑惑」報道以来、人権侵害を繰り返してきた「伝聞による疑惑報道」の典型であり、かつ「ロス疑惑」報道を真っ先に批判した浅野教授への敵意に根差している」。8月号に掲載された山口さんの報道に対する「反論」掲載について、篠田博之編集長も平謝り。