『きみが選んだ死刑のスイッチ』、12月に読了。森達也著。理論社YA(ヤングアダルト)新書。よりみちパン!セ。2009年5月刊。
「第1章 罪と罰」、「第2章 冤罪」、「第3章 裁判員制度」、「第4章 死刑」。
裁判員制度。「・・・理解しやすくて長引かない裁判を目指すのだ、ということになる。/やれやれ。/言っているそばだ。・・・/・・・つまり丁寧で正確であることが、裁判にとっては、何よりも優先すべきことなのだ。わかりづらいとか長すぎるとか、そんな理由で簡単に変えるべきではない。/・・・法務省や司法関係者が本当にそう思っているのなら、まずは自分たちで、これを改善する努力をすべきだと僕が思う」(pp.124-125)。「・・・司法改革の焦点は、「無罪推定の原則が消えかけている」こととか、「裁判所が世論を気にしすぎている」ことなどではなく、「民事司法の手続きをもっと簡略化しよう」との趣旨だった。/またこれだ。簡略化。つまりわかりやすさ」(p.149)。
代用監獄。「・・・すべて実際にこれまであったことだ。・・・公正な裁判を行うためには、まずはこの代用監獄という制度を、変えねばならない。ところがなかなか変わらない。こんな制度は世界でも稀だというのに」(p.139)。
ポピュリズム、世論に迎合。「その一例が、弁護士へのバッシングだ。・・・たとえば、「光市母子殺害事件」弁護団に対するバッシングはひどかった。雑誌などには「鬼畜弁護士」などのフレーズが何度も掲載された。・・・日本全国から毎日のように、「死ね」とか「悪魔」とか書かれた葉書やカミソリが入った手紙などが、送られてきたらしい。/・・・子供の頭に打撲のあとはいっさいなかったことが判明した。/つまり、検察側の主張は嘘だった。嘘は言いすぎかもしれないけれど、少なくともこれについては、事実ではなかった。/でも多くの人は、こんなことも知らない。なぜならメディアが報道しないからだ。検察側の主張は、あれほどに大きく報道したのに」(pp.143-144)。