綿井健陽さんのWP『逆視逆考PRESS』(http://watai.blog.so-net.ne.jp/)の4月9日の記事(http://watai.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09)を紹介させていただきます。記事中のテレビ放映は既に終わっています。
タイトルは「10年後ガンだな」。このつぶやきに、やり切れなさを感じます。それに寄りかかり、他人の命を危険にさらして安全な生活を営んでいる自分自身に自己嫌悪。原子力発電というパンドラの箱を開けさせた人々に激しい怒りを感じる。このような悲惨な「背負うべき“運命”」に支えられる社会であってはならない。「この国の原子力“安全”行政・運営・宣伝の虚構体制でつくられた“犠牲者”」を生みださなければ成り立たない社会とは一体何だ。一部の地域や一部の労働者に犠牲を強いることでしか成り立たない社会はおかしい、との松下竜一さんの数十年前の指摘はやはり正しかったのだ。
やはりボタンの掛け違えは、FUKUSIMAというあまりに過酷な結果を生んでしまった。原子力という選択は、最悪の選択だったのだ。過去に遡れずボタンを正しくかけ直せないのだから、いまは、せめて、せめて、他の原子力関係の施設を即刻停止させるだけでも、すぐに実行すべきである。
『原発ジプシー』著者の堀江邦夫さんは今どこで、どうされているのだろう? お元気なのか? とても気になる。
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【http://watai.blog.so-net.ne.jp/2011-04-09】
『10年後ガンだな』
今日(4月9日・土)午後5時からTBS系列「報道特集」で、地震発生2日後(3月13日)に入った福島県双葉町の映像が放送されます。
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
日本ビジュアル・ジャーナリスト協会会員(森住卓、豊田直巳、山本宗補、野田雅也、綿井健陽)と広河隆一・DAYSJAPAN編集長が取材しました。番組編成の都合で約3分の本当に短い企画ですがご覧ください(通常よりも放送開始時間が30分早くなって5時からです)。
いったん東京に戻って、3月26日からはドキュメンタリー映画の安岡卓治プロデューサー、森達也監督、松林要樹監督らと一緒に、岩手・宮城・福島を1週間回りました。4人それぞれがビデオカメラを持って撮影して、これから編集作業に入る予定です。
そのほか以下も合わせてご覧下さい。
月刊「世界」5月号(岩波書店) http://www.iwanami.co.jp/sekai/
「ジャーナリストたちは何を見たか──日本ビジュアル・ジャーナリスト協会取材記」 文・豊田直巳 (フォトジャーナリスト)
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自衛隊による放水や電源復旧作業が行われていた3月22日~4月1日の間に、福島第一原発敷地内で作業をしていたTさん(27歳)が「一時休暇」で福島県内のある避難所に戻ってきた。彼は高校卒業以来、地元の原発の中で毎日働いてきた。 以下の「アワプラネットTV」で以前に何度かインタビューをした彼だ。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/921
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/942
普段は計器類のメンテナンス作業を担当するTさんだが、今回の作業は持ち場を超えて、高い放射線量の中で電源復旧に関わる様々な作業を行っていた。その現場で作業にあたっているのはほとんどが東電の関連・下請け会社の社員だという。 そして、彼は4月3日から再び第一原発に入っている。
その前日に会ったとき、彼はこう話していた。
「第一原発敷地内のトイレの中で誰かが同僚の人に対して、『10年後ガンだな』と言った後、誰もそれに答えなかった。こんな作業と生活があと10年ぐらい続くんじゃないか。東京あたりでの普通の生活はもう十数年送れないんじゃないかという不安はあります」
このところのテレビの原発報道では、原子炉の図面や汚染水の状況分析・解説が多く、大学教授や記者会見でいつも出てくる人たちばかりで、実際の作業を現場でする人間の姿がどんどん見えにくくなる一方だ。
今回のインタビューで彼は、「自分の運命だと思って作業をやり遂げるしかない」と話していた。だが、それは彼が背負うべき“運命”なのだろうか。この国の原子力“安全”行政・運営・宣伝の虚構体制でつくられた“犠牲者”ではないか。
10年以上前に古本屋で買った講談社文庫「原発ジプシー」(堀江邦夫著)をいまめくってみると、以下の一節が染みわたる。
http://www.amazon.co.jp/%E5%8E%9F%E7%99%BA%E3%82%B8%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%BC-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A0%80%E6%B1%9F-%E9%82%A6%E5%A4%AB/dp/4061833545
『近代科学・技術の最先端をいくといわれている原発だが、そうはいっても実際に原発を動かしているのは人間なのだ。それも、中央操作室で計器類を監視し、スイッチを押す電力会社社員は、そのほんの一部であって、人数面からも仕事量からも、下請労働者の方が圧倒的に多い。つまり原発は、下請労働者の存在があってはじめて原発として稼働することが可能なのである。言いかえれば、現場の最前線に送りこまれ、放射能にまみれて働くことを強いられている労働者たちの存在を無視して原発を語ることはできない、ということなのだ。』
あの危機的状況の福島第一原発の敷地内で、放射線量の不安とともに“運命”を背負いこまされるTさんのインタビュー映像を近々放送(ないしは配信)したいと考えている。
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綿井健陽 WATAI Takeharu
Homepage [綿井健陽 Web Journal]
http://www1.odn.ne.jp/watai
映画「Little Birds~イラク戦火の家族たち」
公式HP http://www.tongpoo-films.jp/littlebirds/
DVD発売中
月刊「創」『逆視逆考』
http://www.tsukuru.co.jp/
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