【青木理さん『情報隠蔽国家』…「客観的な事実すら隠蔽し…ねじ曲げて恥じない為政者たちの姿」を報じも… ↑】
(2024年08月02日[金])
神保哲生さんのビデオニュースドットコムは、「ディスクロージャー(第22回)」は《行政機関の公益通報をめぐる諸問題》について。《その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され、公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている》。しかし、《公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度》であるにもかかわらず、ことごとく機能していないようだ。つまり、公益通報者が保護されていないのが現状。鹿児島県警問題しかり、《兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題》では悲劇が起きている。
《これはいずれも組織内の違法行為を告発するもので、明らかに公益通報の範疇に入るものだったが、鹿児島県警は内部告発者を逮捕し、ハンターの事務所を家宅捜索した》、《この問題を取材しているジャーナリストの青木氏は、藤井氏の行動は公益通報以外の何物でもないと指摘する》、《加えて、今回の強権発動は警察という組織では決して内部告発は許さないという強い意志を示すことが目的だと思われるが、そのために内部告発した警察職員を様々な理由をつけて「あれは公益通報には当たらない」と決めつけ逮捕までしていること》(ビデオニュースドットコム)。
『●斎藤元彦兵庫県知事、新たなお維案件…ホイッスル・ブロワー《組織の
不正をただす告発者が、守られる環境》が全く実現されていない悲劇』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」
『●今西憲之さん《組織内に隠された恥部をさらす警察官を立て続けに逮捕して
いる鹿児島県警に、「正義」はあるのか》? しかも、報道機関に家宅捜査!』
『●《警察の犯罪を中立的な立場から捜査する仕組みが存在しない》…報道
機関を家宅捜査し、 二人のホイッスル・ブロワーを逮捕する鹿児島県警』
《これはもはやそんな次元を超えた、公益通報者保護制度の破壊で
あり、報道の自由の侵害に他ならない》
《…鹿児島県警で今何が起きているのか、警察の身内の犯罪の隠蔽や
内部告発者の逮捕、メディアへの介入を許していいのか、
警察の犯罪は誰が取り締まるべきなのかなどについて、この問題を
取材しているジャーナリストの青木氏と、ジャーナリストの
神保哲生、社会学者の宮台真司が議論した》
神保哲生さんのビデオニュースドットコム【行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している/ディスクロージャー (第22回)】(https://www.videonews.com/disclosure_discovery/22)。《それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され、公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容が「もっぱら公益目的」、かつ「重大な犯罪」でなければ、公務員法違反となってしまうのだ。そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ。第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。…行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した》。
警察の不祥事を告発したホイッスル・ブロワー《組織の不正をただす告発者》・鹿児島県警元警視正(生活安全部長は〝たたき上げ〟のトップらしい)を逮捕。しかも、もう一人のホイッスル・ブロワー(鹿児島県警曽於署の藤井光樹巡査長)に関する別件とはいえ、(警察の不祥事を告発し続けていた)福岡の報道機関「ハンター」にガサ入れするという前代未聞の行動をとり、たまたま、この報道機関にその内部告発が北海道から〝回ってきていた〟ためにホイッスル・ブロワー(元生活安全部長・本田尚志氏)の情報が漏れてしまい、鹿児島県警が逮捕…。マスコミは、もっと大騒ぎすべきと思うのですが? (神保哲生さん)《今回、警察の内部告発者2人が、記者クラブに加盟する数多ある大手メディアではなく、小さなネットメディアを通報先に選んだことを、既存のメディアは深刻に受け止める必要があるだろう》。そして、《弁護人は「公益通報にあたる」と主張したが、裁判所は勾留の取り消しを認めなかった》という鹿児島簡裁も正気だろうか? 家宅捜査を受けた「ハンター」の代表・中願寺純則氏は「鹿児島県警は、メディアに情報を漏らしたといって身内を続けて逮捕していますが、本来逮捕すべきは誰なのか、よく考えてほしい」と。
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【https://www.videonews.com/disclosure_discovery/22】
(https://youtu.be/CqDNXkcGWzc)
2024年07月27日公開
行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している
ディスクロージャー(第22回)
司会 三木由希子 神保哲生
概要
第22回のディスクロージャーは行政機関の公益通報者保護が正常に機能していない問題を取り上げた。
公益通報とは、組織内で不正や違法行為があった時、組織の構成員がその情報を組織内の適切な部署や行政機関、さらには外部の報道機関などに提供すること。その通報を通じて、組織の健全な運営を図ることを目的としている。そして、公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度だ。2006年から法律が施行されている。
公益通報は組織内の情報を組織の構成員が公益的な動機から外部に提供する行為であり、外部から情報の開示を求める情報公開請求とは表裏一体の関係にある。外部から情報公開請求を行うだけでは、実際に組織内でどのような不正行為が行われていたのかや組織が正常に機能していたのかどうかをうかがい知ることは容易ではない。また、外部からはその組織がどのような情報を保有しているかもわからないが、内部の人間はそれをすべて知っている。
公益通報者保護法は行政、民間を問わずあらゆる組織に適用される法律であり制度だが、民間の企業や組織と比べた時、行政機関には乗り越えなければならない高いハードルがある。それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され、公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容が「もっぱら公益目的」、かつ「重大な犯罪」でなければ、公務員法違反となってしまうのだ。
そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ。第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。
鹿児島県警は県警の警察官や警察関係者による犯罪行為に関する捜査資料を外部のジャーリストに情報提供したことが、公務員法の守秘義務違反に当たるとして、警察官2人を逮捕している。そのうちの1人は直前に鹿児島県警の生活安全部長を定年退官したばかりの、上級幹部だった。
逮捕にあたり鹿児島県警のトップである野川明輝本部長は記者会見で、元生活安全部長の警察職員によるメディアへの情報提供は「公益通報には当たらない」との考えを示した。その理由として、警察職員が提供した情報の中には、被害者情報など犯罪の摘発に直接関係のない情報が含まれていたことなどがあげられている。
つまり、メディアに提供された情報のうち、犯罪に直接関わる部分については公益的通報に当たる可能性があるが、それ以外の情報も含まれていた瞬間に、それは違法行為となるというのが、鹿児島県警の認識ということになる。
しかし、犯罪行為を提供する際に、その周辺情報を一切含まない形で摘発するというのは、必ずしも現実的ではない。特に今回のように、提供された捜査資料の中に被害者の個人情報が含まれていたことが問題視されることになると、情報提供を受けたメディアは、その情報の裏取り、つまり事実確認さえできなくなってしまう。
鹿児島県警以外では、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題に関して、告発を行い誹謗中傷やパソコンの私的利用を理由に懲戒処分を受けた元西播磨県民局長が自死するという事態が起きている。これは県が知事の違法行為を摘発する公益通報を行った職員のパソコンを押収した上で、パソコン内にあった職員のプライバシーに関わる情報を他者に開示するなどして、告発をした職員に圧力をかけた結果だったと考えられている。これもまた、行政機関内の公益通報者保護が徹底されていない結果起きた悲劇だった可能性が高い。
つまるところ、公益通報者保護制度は地方自治体や官庁ではほとんどまともに機能していないようだ。公務員法の守秘義務というハードルのため、公益通報者が逮捕されたり懲戒処分を受けたりすることが頻発しているのだ。民間企業はもとより税金で運営されている行政機関こそ、違法行為が隠蔽されるようなことがあってはならないことは論を俟たない。より公益通報者保護制度が機能してくれなければ困る行政機関内で、公益通報が難しくなっている現状は変わってくれなければ困る。
現行の公益通報者保護制度の最大の弱点は、この制度が元々、消費者保護を目的とした消費者行政の延長線上にあり、行政の健全な運営を担保するための制度ではないことだ。そのため管轄官庁も消費者庁になっている。無論、消費者保護は重要だが、行政機関の健全な運営のためには、現行の公的通報者保護制度を強化するか、もしくは消費者保護とは切り離した形で、行政機関を対象とする新たな公的通報者保護制度を定める必要があるのではないか。
行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。
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