レイバーネットの【太田昌国のコラム : 千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句】(http://www.labornetjp.org/news/2019/1010ota)。
《1974~75年に、いわゆる連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線“狼”のメンバーで、それゆえ確定死刑囚であった大道寺将司君…は、去る2017年5月24日、多発性骨髄腫のため東京拘置所で亡くなった。享年68。…私が利用していた購買店では、注文を受けてから業者に手配する。お店で現物を見ることはできない。聞くと、千葉から来る花という。だから、千葉県の花農家のユリが全滅したと聞く私の思いは、二重に哀しいのだ。俳人・大道寺君がユリを詠んだ句を句集『棺一基』(太田出版、2012年)…》。
大道寺将司さんが亡くなっていたこと、初めて知った…。迂闊にも、2年以上も前にお亡くなりになっていた。
『●『佐高信の新・筆頭両断』読了(2/2)』
『●『死刑弁護人 ~生きるという権利~』読了(4/4)』
『●『創 (12月号)』読了 (2/2)』
『●『松下竜一未刊行著作集2/出会いの風』読了(4/9)』
『●『松下竜一未刊行著作集3/草の根のあかり』読了(2/2)』
『●『抵抗人名録 私が選んだ77人』読了(2/2)』
『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)』
『●『日本の公安警察』読了(2/2)』
『●『東京番外地』読了』
『●『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』読了(後半)』
『●死刑囚・大道寺将司さんのこと』
『●「O・ストーン&P・カズニック 戦争と歴史を語る」
『週刊金曜日』(9月6日、958号)』
〝殺人〟は絶対に否定されなければならない…でも彼らがなぜ「その闘争」をやらなければならないと思ったのか、には耳を傾ける必要がある。『狼煙を見よ ―――東アジア反日武装戦線狼部隊』。
『松下竜一未刊行著作集5/平和・反原発の方向』から、再度、引用。
「…拒絶反応だと断じざるを得ない。/…私は暗然とする。信頼してきた『草の根通信』の読者にしてこうなのかと思う。/一度焼きつけられた「冷酷非情の狼」という印象は消えることなく、大道寺将司という名だけで、もう拒絶反応が起きてしまうことになる。知ろうとする心を閉ざして拒絶する壁をめぐらせてしまうことほど、危険なことはないのだが」(p.160)。
「…つい感情を昂ぶらせてしまった。/「あなたは、なんでそんな第三者的な質問をするのか。死傷者を出したことで一番苦しんでいるのは、彼らではないか。われわれは大きな不正を正すために何をしたというのか。何もしないからこそ、彼らのように重大な失敗を招くこともなかった。何もしないわれわれが、やったがゆえに死傷者を出してしまった彼らを、裁くことができるのか」」(p.162)。
「そのことで彼らを無差別大量殺人者として糾弾することはたやすい。だが、時代の痛みにも気づかず、あるいは気づいても知らぬふりをしていた者が(行動しなかったがゆえに失敗しもしなかっただけのことで)、行動を起こしたがゆえに大きな失敗をしてしまったものを威丈高(いたけだか)に指弾できるだろうかという思いは、『狼煙を見よ』を書き進むにつれて私の中でつのっていった。なによりも、そのことで一番苦しみ抜いているのは獄中の〝狼〟たちなのだ。/荒井まり子は、企業爆破事件の実行犯ではない。謀議にすら関与してはいない」
=====================================================
【http://www.labornetjp.org/news/2019/1010ota】
太田昌国のコラム : 千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句
●第36回 2019年10月10日(毎月10日)
千葉県の被災と、千葉産ユリを詠う一死刑囚の句
ここ数年か、天気予報のあり方が変わった。暴風雨がもたらす可能性のある被害をかなり大仰な表現で言う。でもこれは、台風の進路が変わったり急速に衰えたりして、被害が少なかった時に事後的に思う感想でしかないのだろう。事実、9月の台風15号接近を伝える予報の中には、「今までに経験したことのない暴風雨」という表現をまともに受け止めなければ、と思わせる切迫感があった。そして、その通りになった、伊豆諸島と千葉県と横浜市の一部では。
政府の初期対応の「欠如」は、この危機感を持たなかったがゆえだろう。首相や官房長官が、いかに弁解に努めようとも、当時の「首相動静」や対応の仕方(=組閣強行)を見れば、一目瞭然なのだ。とんでもなく無責任な内閣の隠しようもない姿が!
こんな連中が、もう7年間も私たちの社会を支配していることに気づく機会にしたいものだ。遅きに過ぎるとはいえ。
10月9日付け東京新聞(写真)の一面に、鋸南町の花農家が受けた台風被害についての記事が載っていた。今回の台風での、千葉県全県でのビニールハウスの被害総額は200億円ということだが、この記事で取材された農家でも、ハウス10棟が倒壊し、出荷まじかだったユリ5万株がなぎ倒され、茎が折れたという。ユリで得られるはずだった1000万円の収入が絶たれたうえに、仕入れ済みの球根代などで1000万円の負債が残ったというから、気の毒この上ない。胸が塞がるようなニュースだが、「ユリ」と聞いて、私にはもうひとつの思いも生まれる。
1974~75年に、いわゆる連続企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線“狼”のメンバーで、それゆえ確定死刑囚であった大道寺将司君(写真)は、去る2017年5月24日、多発性骨髄腫のため東京拘置所で亡くなった。享年68。私は「救援」の立場から、最低月1回の面会を続けていた。面会にも文通にも差し入れにもさまざまな制限があるのだが、花の差し入れも例外ではない。タンポポやオオイヌノフグリ、つゆ草のような、野で摘んだ可憐な花を差し入れることはできない。拘置所の中と外にある特定の購買店で売っているものでないと、許可されないのだ。いくつかの花の差し入れを試みてのち、彼はいつもユリを指定するようになった。ほかの花に比べて長持ちすること、開花した花の強烈な匂いに惹かれたのだろう。無色・無臭の場に幽閉されたひとの気持ちとして、それはそうだろう。
私が利用していた購買店では、注文を受けてから業者に手配する。お店で現物を見ることはできない。聞くと、千葉から来る花という。だから、千葉県の花農家のユリが全滅したと聞く私の思いは、二重に哀しいのだ。俳人・大道寺君がユリを詠んだ句を句集『棺一基』(太田出版、2012年)から拾ってみる。
鈍色(にぶいろ)の空傾きて百合開く
ゆくりかに開きそめたる鹿子百合
百合の香や記憶の襞のそそめけり
百合の香やかはたれ星の消えしより *かはたれ星=明けの明星
手も触れで崩れ落つるや闌(た)けし百合
百合が花開くこと、強烈な香りを放つこと――をいかに楽しみにしていたかがうかがわれる。だから、盛りを過ぎた花が、手も触れていないのに落花するのが口惜しいのだ。
大道寺君が好んだユリを栽培していた千葉の花農家の、今回の苦境を知ったら、彼はどんな句を詠んだろう。「3・11」のあとで、彼はこんな句をつくった。
数知らぬ人呑み込みし春の海
流されてまた流さるる彼岸かな
風評といふ差別負ふ胡瓜食ふ
=====================================================
最新の画像[もっと見る]
- ●《看護師で登山家の渡邊直子さん…世界に14座ある標高8000m以上の高峰を完全制覇し、日本人女性初の「14サミッター(サミットは山頂の意味)」》に 7日前
- ●《看護師で登山家の渡邊直子さん…世界に14座ある標高8000m以上の高峰を完全制覇し、日本人女性初の「14サミッター(サミットは山頂の意味)」》に 7日前
- ●2011年3月11日「震災も原発事故もまだ終わっていない」…「教訓」や「警告」はどこに? 原発復権・原発回帰して原発依存度を上げていいのか? 1週間前
- ●PARC製作『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督)…《「…“送料無料”の裏側で起こっている労働実態」に迫ったドキュメンタリー》 1週間前
- ●《マイナ保険証はセキュリティー上の懸念も多く、認証エラーや紐づけミスなどのトラブルも続出。解除ラッシュは国民の不安の裏返し…制度は破綻》 1週間前
- ●《原発回帰》《原発復権》《原発を最大限活用》核発電全開…《「脱原発依存」の看板を下ろすのは、福島の教訓を忘れ去るということだ》(東京新聞) 2週間前
- ●「教訓」も「警告」も無視して暴走…《原発活用は政府と同じ方向》な玉木雄一郎コミ代表(3カ月役職停止処分中)が《原発復権》を大きく後押し 2週間前
- ●《エネルギー基本計画…原発依存度「可能な限り低減」の文言削除》…原発依存症、核発電〝麻薬〟中毒な皆さん…もうどうかしてしまっているニッポン 2週間前
- ●ホントにオメデタイ国だ…14年前の「教訓」やわずか1年前の「警告」を無視する、経産省や原子力「推進」委員会委員ら核発電〝麻薬〟中毒者たち 2週間前
- ●《新潟県の花角知事の判断》も無く、勝手に、柏崎刈羽核発電所の《原子炉に核燃料入れる方針》の東京電力は福島を「原状回復」してみせたのですね? 2週間前
「Weblog」カテゴリの最新記事
- ●神戸金史RKB報道局解説委員長《起きてはいけないことが起こらないようにするため...
- ●《平野啓一郎氏…「人を殺してはいけない」のは絶対的な禁止なのに、死刑制度はひ...
- ●初めての死刑執行後の再審請求「福岡事件」…《無実を訴えながら死刑を執行された...
- ●元刑事裁判官・木谷明さんは《検察の権限が強すぎることも、裁判官が検察の主張に...
- ●大谷昭宏さん「無実で犯行をでっちあげられながら、それを立証できずに人生を奪わ...
- ●(リテラ)【渡邉恒雄の追悼報道でマスコミが触れない裏の顔! 中曽根、児玉誉士...
- ●《看護師で登山家の渡邊直子さん…世界に14座ある標高8000m以上の高峰を完全制覇...
- ●2011年3月11日「震災も原発事故もまだ終わっていない」…「教訓」や「警告」はどこ...
- ●PARC製作『Amazon配達員――送料無料の裏で』(土屋トカチ監督)…《「…“送料無料”の裏...
- ●《マイナ保険証はセキュリティー上の懸念も多く、認証エラーや紐づけミスなどのト...
《東アジア反日武装戦線――狼、大地の牙、さそり
1974年、日本を揺るがした20代の若者たち》
《連続企業爆破事件から45年――
なぜ彼らはテロを起こしたのか?》
【映画『狼をさがして』】(https://tokushu.eiga-log.com/movie/67016.html)/《東アジア反日武装戦線を追ったドキュメンタリー 1974年、日本を揺るがした20代の若者たち 映画『狼をさがして』》《連続企業爆破事件から45年――。なぜ彼らはテロを越したのか? …高度経済成長の只中、日本に影を落とす帝国主義の闇。彼らが抗していたものとは何だったのか? 彼らの言う「反日」とは?未解決の戦後史がそこに立ち現れる。》
【映画『狼をさがして』予告編】
《彼らは何を求めたのか。そして何を間違えたのか。
時代は終わっていない。そこにかつて統治された国からの視点が重なる。
事件から半世紀が過ぎかけているからこそ、
僕たちは解釈の多様さを取り戻さなくてはならない。
森達也 (映画監督・作家)》