エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

歴史と心が結びつくとき

2013-11-04 03:51:50 | エリクソンの発達臨床心理

 

 心理療法において、約束(契約)がいかに大事か、お分かりいただけただろうと思います。人間は約束というルールがあるからこそ、信義を保ち、信頼関係を深めることができるのです。何気ない約束なのですが、この約束の大切をいくら申し上げても、過言ではない程です。

 

 

 

 

 

 他方、私どもは、歴史を、臨床家ではない観察者たちや、歴史を専門とする者たちにすっかり任せることはできません。彼らはすべて、歴史過程を、あまりにも堂々と、ゴマカシ、合理化し、理想化するに任せることが多いのです。彼らをこの歴史過程と区別することが、かれらの仕事にすべきでしょう。歴史に影響力のある人が、心の根源的ないろんな働きといろんな舞台(段階)と切り結ぶ関係は、共に表にして理解される時、私どもは、神秘主義的で道徳的な哲学に逆戻りすることなく、精神分析的な社会批評を始めることができます。

 

 

 

 

 歴史を学ぶ時には、1人の人は捨象(無視)されるのが普通でしょう。しかし、本当に歴史を理解しようとするならば、その歴史の中で1人の人が、その歴史に強い影響力を持った人々からどのような影響を受けていたのか、を明確に理解することが必要だ、というのが、エリクソンの主張です。そのために精神分析が役立つのですが、それは今申し上げた影響がハッキリすることが必要になる、ともエリクソンは言うわけですね。

 

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