道沿いの、色鮮やかな紫陽花がきれいに咲いているのを眺めながら正門へ入ると、竹林、雑木林から清々しい香りがして、広い園庭に気持ちの良い風がふいていました。
今日は、府中白糸台幼稚園で幼稚園の先生方への絵本講座でした。
16クラスもある大きな幼稚園で、先生の参加人数も40人。
いつものお話会とは少し様子の違う、熱い視線を受けながらの講座で、珍しくやや緊張気味のスタートでした。
初対面ですものね。当たり前ですね。
でも、すぐに、手遊びなどを通して私も先生方も和んできました。
保育のプロである先生方への講座は、園児への取り組みにも反映させてほしいという願いもあるので、私も熱が入りました。
園児向きの絵本や、日々の手遊びなどは、毎日の日課や計画の中で先生同士でも充分話し合われているだろうと思いましたので、私は一番最初に
「今日は、地味でも、底力のある絵本を読み、おはなしを語ります」と言って、始めました。
講座の中で、『鳥呑みじい』を語ったあと、先生方へも順に語りを繋げて全員リレー形式でお話を完成させたり、『おおきなかぶ』を3人の先生に読んでいただき、絵本の読み聞かせに役立ててもらえるようなアドバイスをしました。
読んでいただいたどの先生にも感じておはなししたことがあります。
それは、声とページのめくり方です。
声は、私は特に「幼稚園語り調」と言っていますが、先生そのままの声でなく、独特な高めの、可愛らしい甘い声で読んでいます。
スピードはゆっくりでとても良いのですが。これは、他の幼稚園でも感じます。
「声は、たったひとりの声です。その声を大事にして、自分の声で、まっすぐ読んでください。落ち着いてすっきりとね。絵の印象をストレートに届けるためでもあります。」
また、めくり方は、丸めるような形で、ばらっという感じがしました。
「絵本は子どもたちに食べさせる大切な食べ物です。愛情こめてめくってくださいね」と。
運ぶ手の位置や、指先のことも触れました。
紙芝居の『舌きりすずめ』を読んだとき、半分以上の先生が知ってる内容と違ったと驚いていました。きっと、昔話も、短くまとめられている読み物が多いからですね。
あっという間の二時間で、持っていった絵本も読めないものが多く、ブックトークになったものもありますが、絵本や語りの世界が、子どもたちの心を膨らませ、瑞々しい感性が育ち、そして、言葉の世界を豊かにし、大きな生きる力を培っていくものだということが伝わることを願って講座を終えました。
最後のメッセージは
「愛しい絵本。もっともっと大好きな絵本を見つけてください。そして、子どもたちに読んであげてください」です。
私が読んだ絵本も、初めて出あった、初めて読んでもらったという先生が多かったので、良い絵本と出会ってもらって嬉しいなと思いました
講座の後、園長先生に府中市に残っている地名の由来話をゆっくりお話ししていただきました。
先生が感想で「もっと声色を変えて読むのだと思っていました。言葉の美しさ、響きを大切にしているんだと思いました。」とお言葉をいただきました。
私は、語り手です。演劇人ではないですから。
絵本の力を信じて素直に読むだけです。
帰り、職員室にいらした先生と写真を
楽しい手遊びを教えてもらいました!
貴重な時間でした。ありがとうございました
*講座で紹介した絵本たち
(絵本) 『コッケモーモー』
『三びきのくま』
『おおきなかぶ』
『舌きりすずめ』紙芝居
『もりのなか』
(語り) 『鳥呑みじい』
『おだんごぱん』
(ブックトーク) 『かいじゅうたちのいるところ』
『だいくとおにろく』
『かばくん』
『あめ』
『スーホの白い馬』