語る前、「耳を澄ますって?わかる?」と聞くと、
子どもたちは、一瞬きょとんとした顔を見せます。
その時、初めて、みんなきっとした顔になり、私を見ます。
初めてのお話し会の時、最初によく、「耳を澄ましてごらん。何が聞える?」と、
子どもたちに問いかけをしてから始めます。
初めてのお友達がやってきた時も・・・。
その時、私は右手を耳にあて、手のひらを開いて大きな耳にし、左手は胸にあてて目を閉じます。
子どもたちは真似をします。
「何が聞える?」ともう一度聞くと、
たくさん答えが返ってきます。
「話し声!電気のウィーンっていう音!となりの教室の声!校庭の声!道路の車!
自転車!・・・」
「あとは?」
「鳥の声、風の音、ずっと向こうの町の音・・・」
「じゃあ、心で覚えてる海の音聞える?川の音は?虫の声は?」
「聞える聞える!」
「耳を澄ますって、心をゆったりさせて聞くことね。いろんなこと思い出しながら聞いていいの。いろんなこと思いながら聞いていいの。心で聞くことね」
そして、

「リーンリーン リーンロロリーン」
そっと語り始めます。
私も心を落ち着けて。
そうでなくちゃうわべだけの丸暗記の語りになってしまいます。
深い呼吸。丹田に集中して、注意深くそっと
「むかし むかし・・・」
繰り返し繰り返し読む本のなかの、いい言葉だなぁと思うことは、よくつぶやいています。散歩しながら。
『星の王子さま』の王子さまのように、しっかり心に刻み込むために、言葉をくりかえすのです。
今日もぶつぶつしてました。
「心でなければ、ものは見えない。肝心なことは、目で見えないんだ」
そして、また『星の王子さま』を読んだりします。
言葉も音声だけでは、心に届かない。
やっぱりハートがなくっちゃ。
言霊が生み出されるのは、やっぱり、血の通った身体全部から。
温かい語りができるようになりたいです