駒師「日向」のブログ 本店

プレーヤー目線で作る
将棋駒作家のつぶやき

将棋駒のメンテナンス法

2010年06月17日 | 将棋駒製作
写真は、ずっと保管してきた小生の第一号作です。

贔屓目に見ても、拙い作品ですね。

でも、思い出深い作品です。昨日、親友に進呈しました。


リサイクルなどもやってきましたので、

この辺で自分なりに出した、

駒メンテナンスの結論をお示ししたいと思います。

ご参考になれば幸いです。

なお、実際の作業に関しては自己責任で

お願い致します。


1.手入れ
 まず、駒を使う前に手を洗っています。

 使用後は、キメの細かい柔らかい布で
 軽く、丁寧に乾拭きします。
 布は少し厚手の眼鏡ふき
 「マイクロファイバークロス」
 を使っています。
 強く拭き過ぎると木地が減りますので、
 その点を注意しています。

2.油の使用について
 1~2年に一度ぐらいです。
 木目が際立つので油を塗りたくなりますが、
 椿油は「不乾性」なので、ベタベタが残り、
 木地が黒ずむ原因になるだけです。
 荏油などの「乾性」の油にして下さい。

3.汚れた場合の洗浄について
 一般的に駒に水分は厳禁なのですが、
 汚れを落とすには洗うしかありません。
 洗った後は水分を素早く取り除きます。
 経験上、板目や杢は水に濡れると必ずと言っていいほど、
 曲がるかヒビ割れますので原則洗いません。
 木地の状態によってはそれ以外でも曲がったり、
 ヒビ割れたりしますので注意が必要です。
 曲がったりヒビ割れた駒は作り直しになります。
 また、水溶性の目止めが使われている作品の場合は、
 目止めが溶けて、漆が剥がれます。
 その部分については、目止めと、漆入れの作業を
 やり直す必要があります。
 
 汚れの原因によって処置方法を変えています。
 ①油汚れの場合
 油を分解する必要がありますので、
 中性洗剤で洗います。
 柔らかい歯ブラシを使っています。
 洗った後、ぬるま湯でよーく濯ぎ、
 その後、乾いたタオルで上下から挟み、
 木地についた水分を素早く除きます。
 場合によってはドライヤーも併用します。
 
 洗浄後白っぽくなりますが、
 木地の奥に染みていた油が
 3、4日すると染み出してきます。
 まだ、油っぽい様なら、再度洗います。

 ②タバコ汚れの場合
 歯磨膏「ザクトライオン」を付けて洗います。
 酵素の働きで、ヤニ成分を分解・除去して
 くれる様です。
 研磨剤が入っていますので、
 擦り過ぎないようにしています。
 洗浄後の処置は①と同様です。

 ③手垢の場合
 洗剤で洗っても落ちなかった手垢は、
 削り落とすしか無い様です。
 平らなガラス板に耐水ペーパー#1000以上を貼り、
 丁寧に水研ぎします(盛上駒はできません)。
 水よりもぬるま湯を流しながら作業すると
 良い様です。時々中性洗剤も併用します。
 ただし、削り過ぎに注意しています。


 水分が完全に蒸発したことを確認できたら、
 1.の作業をします。
 
4.カビ
 これはどうにもなりません。
 「カビキラー」などを試してみようかと
 考えていますが、現在の結論は処置なしです。


5.保管
 桐製の平箱が一番良いと思います。
 シリカゲルなどの乾燥剤を添えます。
 使わなくても、時々取り出し、風通しの
 良いところに置いたり、乾拭きしています。
 梅雨の時期は特に注意しています。
コメント (7)
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