「・・・。故に世帯も学問なり。帳合も学問なり。時勢を察するもまた学問なり。」
「・・・。学問の要は活用に在るのみ。 活用なき学問は無学に等し。」
「私(わたくし)に沈深なるは淵の如く,人に接して活発なるは飛鳥の如く,その密なるや内なきが如く,その豪大なるや外なきが如くして,始めて真の学者と称すべきなり。」
言わずと知れた,福沢諭吉の「学問のすすめ」に出てくる文章です。
毎年,私が主催で研究室内で勉強会を行っています。今年も,スタートが少し遅れましたが,勉強会を行うことにしました。
学生たちが自発的に行っている勉強会,実験プロジェクト,コンクリートカヌーもあり,研究室が徐々に活性化している雰囲気は感じます。
私の主催する勉強会は,これまでの経験からやはり必要だろうということで,趣旨を明確にして今年も実施することにしました。全体的に学生の底上げをする,というよりは何人かの非常にモチベーションおよび研究力の高い学生を養成することにつながると感じているからです。それが結果的に,全体の底上げへの近道と思います。
今年は,「とにかく一級の論文,論説文に触れ,深く入り,感じる」ことです。私が過去に読んだものでよいと思っています。まず最初は,大成の丸屋さんの塩化物イオンの移動の論文にしました。その次は,岡村甫先生のせん断耐力評価式の英語の論文。
副読本として,「学問のすすめ」を全員に一冊ずつ購入してもらうことにしました。最初の回に12編の「演説の法を勧むるの説」および「人の品行は高尚ならざるべからざるの論」を勉強することにしました。
我々が行うのは研究なので,最新情報をどんどんと吸収していくことももちろん大事なのですが,それよりも,若いうちには古いものでもよいから一級の論文や本を読んで血肉にしていくことの方がはるかに大事だと思っています。むしろ,古いものにこそ,本物があると思っています。もう若くもないですが,私のような人間にとっても,最新のめまぐるしく変わる幾多の情報よりも,一級のものに触れて感じることの方が大事だとつくづく感じます。