昨日午後は,東京港トンネルのシールド工法での現場見学会を開催しました。
教室の見学会としては久しぶりのような気もしますが,とても充実した見学会となりました。
まず,東京港ということで場所がすごい。すぐ隣には首都高速道路の東京港トンネルがあり,沈埋トンネルなのですが,脇をビュンビュンと車が走っています。大都会の土木工事からはいつも様々な配慮や難条件について学ばせていただけます。
セグメントをこれだけまじまじと観察させていただいたのも初めてでしょうか。継手の構造や裏込め注入のやり方などについて,非常にディテールまで勉強させていただきました。
シールドトンネルの内部に入っていきましたが,これまで見てきたシールドトンネルよりも浅いので,他では絶対に見れない光景もいくつも見ることができました。その一つは,シールドトンネルの外側を見ることができたこと。このブログでは敢えて写真では紹介しませんが,立坑で仮構造で最終的には撤去されるシールドを外から見ることができました。大変貴重な勉強をさせていただきました。
そして,もう一つ大きな体験だったのは,掘削したズリを排出しているベルトコンベヤーを見ることができたこと。音も聞けましたが,ズリの排出を生で見れたのは大きかった。動画も撮りました。
質疑応答でもいろんなことを学ばせていただきました。掘削スピードの制約条件になっているのが,技術的なことではなく,都心ならではの行政的な条件でした。やはり土木事業は難しい。
今回は,菊本先生にもご同行いただき,学生たちも充実した質疑応答などからも多くを学べたと思います。やはり各研究室で閉じこもってしまうような閉鎖的な雰囲気を取っ払って,横断的にも様々な交流がなされるような組織でありたいです。見学会はやはりその重要なカギ,ですね。いつまで担当するのか分かりませんが,後継者が出てくるまで担当しましょう。
何だかあっという間でしたが、土木史の講義が本日終了しました。
この講義は2年目ですが、2年目を始めるに当たっての不安は「1年目と同じレベルの迫力を生み出すことができるか」というものでした。それくらい1年目には気合を入れて臨み、全力を尽くしたのでしょう。
さて2年目が終わりましたが、結果はレポートを読んだり学生の反応を見ている限りでは、1年目よりもクオリティは向上したようです。理由はいろいろとあると思いますが、
・私の力が向上した。読書の幅が広がっていること、お付き合いする人の幅が広がったこと、「実践」の研究が増えたこと、などでしょうか。
・時代が大きく動いたこと。政権交代はやはり大きな出来事でした。その勢いに私も乗り、私の発信する情報の迫力が増大したと思います。
・慣れた。「慣れ」はプラスにもマイナスにも作用しますが、今年はプラスに作用しました。全ての回を通しての情報のつながりも把握できているので、伏線を張ったり、全体を有機的にコーディネートできたように思います。そのような感想がレポートでも多かったです。
本日の最終回のレポートでは、この講義に対する感謝や好意的な記述が多く、多くの学生に対して刺激になったり、自分自身を見直すきっかけになったようで、よかったです。「歴史」というものに対する見方が根本から変わった学生が多いようで、普通の歴史学者には真似できないでしょう。「素人」のなせる業です。
さて、この講義をどう発展させていくかですが、いくつかおぼろげながら目標を記しておきたいと思います。
(1) 非常に実験的な講義であり、これだけ多くの学生からポジティブな反応をもらっているので、大学での講義のあり方を模索するための場として、自分自身も活用するし、なるべく部外に公開し、活用してもらえるようにしたい。講義の内容を本にしてもいいかもしれない。
(2) 土木史の教科書を晩年に執筆できるように、勉強を重ねたい。今は、合田良実先生の秀逸な教科書を使わせていただいていますが、私も合田先生に負けないくらい勉強、経験を積んで、味わい深い、全国の大学で使ってもらえるような土木史の教科書を書きたい。
半年間、休憩、と言いたいところですが、諸事情により、来年度の春学期に、この講義を開講します。
4月からまた第一回から開始です。私にとっては繰返しですが、受講生は一新されますので、新たな気持ちで臨めるよう、リフレッシュしておきます。