細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

遺伝子

2013-01-30 06:54:28 | 研究のこと

私の卒業論文は,たしか,「建設工事システムがコンクリート構造物の品質に及ぼす影響」というタイトルでした。指導教員は小澤一雅先生。

阪神大震災で明るみにあった,ガス圧接の不良や,種々の施工不良。これの原因が何であったのか,というようなモチベーションで研究をスタートしました。非常にレベルの低い研究で,読む価値はほどんと無いと思います。

よく,小説家は処女作にその個性や思想などが集約されている, というような話を聞きます。私も研究者としてやっていく覚悟を決めてから,あの卒論が私の原点なのかなー,と疑問を持ったり,忘れようとしたりしたときもありました。

ですが,今,私が取り組んでいる品質確保プロジェクトは,まさに卒論のタイトルそのものでしょうか。原点に戻ってきたのでしょうか。

私が育った東大コンクリート研究室は,「マネジメント」という言葉が飛び交う研究室でした。岡村甫先生が「マネジメント」を非常に大切に考えておられるからでした。そのような雰囲気で育ったので,私の遺伝子にマネジメントが刷り込まれているのだと思います。

石田先生にもときどき評していただいていますが,「実践的な」建設マネジメントの研究としては,最先端に立っている感覚を持っています。机上の理論ではありません。本当に構造物の品質が良くなり,関わるプレーヤーの存在意義や役割も再認識し,皆が生き生きと仕事をできる仕組みづくり,改善。その先端にいる感覚を強く持っています。

小澤先生は,土木研究所に行かれてマネジメントの研究を本格的に開始されました。

私は,私らしく,現場から,自治体から,実践的にスタートしたいと思います。スタートは切りました。

マネジメントの研究をするように小澤先生からもアドバイスをいただいていますが,建設マネジメントの論文集などに投稿することも真剣に,早急に考えたいと思います。40歳を目前に,新たな一歩となりそうです。 


リアルタイム

2013-01-30 06:08:54 | 人生論

このブログでも何回か書いてきたことですし,講義などでも紹介するのですが,1年に√2倍,成長していく,という話です。
この話自体は,何度か書いてきたので,それらの記事に譲るとして,どうやって√2倍成長していくかというとなかなか厳しいわけです。

全力で生きておりますので,伸びしろがそんなにあるとも思えない。自分自身の能力の向上もありますが,視野の広さ,連携できる人脈の広さ・強さ,判断力,直観力,大局観,などなどまさに総力の向上という観点で,結果的に1年で√2倍くらいは成長していっている,という意味です。

毎年,の話なので,今年も例外ではありません。2011年度は東日本大震災,土木史の講義などを通して私も非常に鍛えられました。√2倍どころではない成長をしたと実感しました。

今年度はどうでしょうか。昨年の私をベースに√2倍に膨らんで行くという話なので,そもそも前提条件が厳しい。

実は今,リアルタイムで進化していく瞬間を体験しています。今朝も星川の現場に打ち合わせに行きます。山口県や復興道路プロジェクトで学んできたことを,横浜市の現場でも実践する実質的な初回です。ここでの経験は,山口や復興道路にももちろんフィードバックされます。

今朝の打ち合わせは,今週末,2/1(金)にその現場でコンクリートが打込まれるのですが,その現場で「施工状況把握」を実施するための下打ち合わせです。私が指導する,という立場で関わります。大手ゼネコンであり,横浜市が発注者なので,諸条件が異なり,私にとっても実践トレーニングです。

もちろん私なりにイメージを持って今朝の打ち合わせに臨む準備はしていましたが,私の多少悩んでいることを,山口プロジェクトのコアメンバーにメールで昨夜,配信したところ,山口県の二宮さんから23時過ぎにご自宅から的確なアドバイスが届きました。

このメールでのアドバイスで,私が進化します。発注者の「監督」という行為に対する私の理解が進化するのです。昨夜は,珍しく夜遅くまで仕事を続け,クタクタになって眠る直前に,二宮さんからのメールを受け取って,まさに「脱皮」するようなイメージとともに眠りにつきました。目覚めたら脱皮している感覚でした。進化した状態で今朝の打ち合わせや,2/1(金)の打込みに臨み,そこでまた学んでプロジェクト全体にフィードバックする。

二宮さんに指導を受けながら,走り回る卒論生の気分です。非常に心地よい。

12月ごろからの日々があまりにも濃厚ですが,ここからの1ヶ月もすごいことになるでしょう。修論や卒論も仕上がってくるでしょうから,新しい知見もたくさん生まれてくるはずです。日々を全力で生きることが,√2倍につながる唯一の道であると,これまでの経験で体得しています。