星野君の少年野球チームは隣町のチームと1点を追いかける試合
をしていました。 最終回のチャンスで星野君が打席に立った時に、
監督はバントのサインを出しましたが、絶好球が来たので星野君は
バントのサインを無視して強打して2塁打を放ち、逆転勝利して市
内の大会に出場することになりました。 ところが星野君はヒーロ
ーになれませんでした。
翌日練習で皆んなが集まった前で「サインを破ったことは規則破りだ
から、星野君は大会には出せない」と宣告されたのです。
中学校の道徳教育に載っている話です。 監督の命令に従うことは大
事なことでしょうけれど、日大のアメフト選手が監督の命令に従って
相手チームの選手にケガをさせたり、公務員が上司の命令に盲目的に
従って公文書を改ざん・破棄したり、ヒットラーの命令に従って60
0万人ものユダヤ人を殺害したアイヒマンの行為が正しいといえるの
か?という問題意識こそが必要で、道徳教育で「命令には絶対に服従
することが正解」だという「教育」が行われているのは正解だとはい
えない。
*「民主主義はおわるのか」 山口二郎著 岩浪新書を参考にしました。