猫五郎の写真日記

なんか、写真よりも文章がメインになってます。しかも、くどい。要改善。でもなかなかねぇ。

2025/02/08 巨大ニュートンの主鏡の固定作業 part 2

2025-02-11 18:46:36 | 天体望遠鏡
今回の記事も、猫五郎の備忘録としての価値はあっても、他の人にはあまり役に立たない内容です。

主鏡がセルの中で動くので、去年の5月と6月に主鏡周囲に厚さ2mmのゴムシートを挿入して、できる限り主鏡がセルの中で動かないようにしました。

しかし、主鏡がセルの中でまだ微妙に動きます
望遠鏡の向きを変えると星がどうやっても楕円に写ることがあるんです。
オートガイドとピントは完璧であるにも関わらず、星が丸く写らないとなると、これは光軸の問題でしょう。
斜鏡は押しネジと引ネジをスパナでガチガチに固定してある。
主鏡の押しネジと引ネジも六角レンチでガチガチに固定してある。
(この巨大ニュートンは押しネジ・引ネジを思いっきり締め付けても主鏡に影響を与えない構造になってます)
星が丸く写らない原因の第一候補は、セルの中で動く余地のある主鏡となったわけです。

友人に声をかけて、そのために来てもらいました。
主鏡がおさまっているセルを外すには男が2人必要なんです。
おそらく50kg程度あると思われます。
引ネジを取り去ると主鏡が入っているセルが外れる構造になってます。

外した主鏡入りのセル

ひっくり返して、セルの裏蓋を固定しているM6ネジを取り去ります。
このM6ネジですが、少なくとも2本が緩んでました
一年間の使用で、M6ネジが緩んでいた事実を重く受け止めなければなりません。
望遠鏡の向きを頻繁に変えることで、M6ネジが緩む。
しかし、対策をどうするか

セルの裏蓋を外したところ。
去年、主鏡周囲に挿入した厚さ2mmの黒いゴムシートが見えます。
ただ、このシートを挿入しただけではまだ若干隙間が残ってました。
A4プリント紙が挿入できるかできないかくらいの隙間です。

ゴムシートに加えて挿入するために用意したのは厚さ0.1mmの銅シートクリアファイル
まずはクリアファイルを挿入することに挑戦しました。
カッターでいい大きさに切り分けます。
同じように見えるクリアファイルでも1枚、1枚、厚さが微妙に異なるんですね。
初めて気づきました。
マイクロメーターをその場でポチったのでした。
後日、マイクロメーターで測定してみると、0.18mmから0.23mmまでのバラつきが認められました。
この程度の誤差は誰も気にしないんでしょうけど。
今回、手の感覚で最も薄いものを使用しました。
おそらく0.18mm程度のものであったと思われます。
なお、普通のA4コピー用紙を測ってみたら、0.1mm弱でした。

主鏡周囲に挿入していた厚さ2mmのゴムシートクリアファイルの切れ端を重ねて挿入します。




挿入、すんなりいくと思ってました。
ところが、意外とキツかった
正直、ここまで挿入するのに苦労するほど隙間が少ないんだったら、「このままでよかったんでない?」と思うくらいに狭かった。
去年の初夏に厚さ2mmのゴムシートを挿入した時とは明らかに状況が異なる
なぜだ?
外は零下の世界。
セルもキンキンに冷たい。
アルミニウムの熱膨張係数は、約23.5×10⁻⁶/℃とのこと。
セルの直径が500mmとして、初夏の夜の気温が15℃でこの時点で気温が0℃だとすると、

(23.5×10⁻⁶/℃)×15℃×500mm=0.176mm

0.18mmほど縮んだことになる。
なるほど。
主鏡周囲の隙間が0.18mmほど狭くなったことで挿入しづらくなったと。
となると、今はキチキチでも夏になるとまた隙間が緩くなる可能性があると。
できるだけキツく挿入した方がいいということです。

主鏡を寝かせた状態だとどうやっても挿入できなかったので、主鏡を入れたセルを写真のように立て、主鏡が自重で下の方に行くようにし、さらに、主鏡周囲を固定するためにあるポリカーボネートM6ネジをねじ込んで主鏡を押し下げ、なんとかクリアファイルの切れ端を厚さ2mmの黒いゴムシートと共に、主鏡の周囲に挿入したのでした。

主鏡を周囲から押さえて固定するポリカーボネートM6ネジですが、緩みます
力を入れて捻るとポリカーボネートM6ネジの形が歪むので力任せに回すわけにもいきません。
妥協策として、ポリカーボネートM6ネジと主鏡の間に厚さ0.5mmの黒いゴムシートを挿入しました。
ゴムの弾力でバネワッシャー代わりにならないか?と期待してのことです。



ただ、これだけではおそらくまた緩むでしょう。
そこで苦肉の策ですが、こんなものを用意しました。
超強力テープだそうで、ガラスに貼ると、剥がすときに割れる恐れがあるほどの粘着力だそうです。



これをポリカーボネートM6ネジのヘッドの上に貼り付けました。
これでほんの少しでも緩みを防止できたらいいな、と。


ミッション完了。
これで、主鏡周囲を可能な限りキチキチに固定できたはずです。
温かい季節になったら少し緩むのでしょうけど。


日本特殊光機(NTK)中村和幸さんのサインが入ってます。
ネットで調べると、2015年の段階でまだご健在であるよう。
あなたの作った望遠鏡でとっても楽しませていただいています。
ありがとうございます。
いつかお会いできる日が来るでしょうか。
そのとき、恥ずかしくないような成果を上げたいものです。

主鏡の裏側に黒い紙があるのですが、ボロボロなので、今回文具屋さんで黒い紙を買ってきました。
丸く切って、ボロボロの古い紙と交換

こんな感じ。

黒い紙の上に主鏡を裏側からセルに押し付けるコルク付きのアルミ板を配置します。
アルミ板には、アルミ板を押さえるM12ネジの先端が入るネジ受けのが掘られています。
その穴の中心に赤いマークが付いています。

セルの裏蓋を被せます。


アルミ板を後ろから押すM12ネジネジ穴から覗いて、アルミ板のネジ受けの穴中心にある赤いマークが見えるかどうか、確認します。

M12ネジ穴から覗いたときに、ネジ受けの穴赤いマークが中心になかったら、プラスドライバーでネジ穴の位置を調整します。


M12ネジを締める前に、まずセルの裏蓋を固定するM6ネジをしっかり締めます

それからM12ネジを手で締めて、ほんの少しだけスパナで増し締めします。
M12ネジを締めすぎると主鏡がセルに強く押し付けられて歪んで、星像が歪みます。
これ、トルクレンチでトルクを決めておいた方が良いかもしれません。
でも、手締めよりほんの少し強めな程度、手では緩められない程度、の強さに調整できるトルクレンチ、あるのかな?

下の図のような構造をしています。
水色のネジがM12ネジです。
M6ネジを緩める方向に、M12ネジの力が常に加わっているわけなんですね。
M6ネジが緩むことは、M12ネジも緩んでくることを意味する
つまり、主鏡が動くことを意味します。


巨大ニュートンの始業点検の第一ステップに、M6ネジトルクドライバーによる増し締めと、M12ネジ手による増し締めが必要だと思われます。

トルクドライバーをポチったのでした。

このあとは2人で主鏡セルを元の位置に戻し、主鏡の引ネジで主鏡セルを鏡筒に固定したのでした。

さて、このあとはOCAL electronic collimatorによる光軸修正です。


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