とうとうこの日が来ました。
一年に1度(?)の開放日です。
夫でもない、父でもない、労働者でもない、一人の「人」として燃え上がる日が来たのです!
しかし・・・・喜んでばかりもいられない状況でした。
「かつてなく危険なミッション。」
今回の宮古島行きに対する僕の認識です。
準備ができなかった。
フィールドワークにおける準備には大きく三つあると思っています。
(1) 物の準備
(2) 現場の情報収集
(3) 身体の準備
(1) 物の準備
なんとかなる。
最悪、現地調達できないものだけを確実に準備できればよい。
(ただし、現地調達にも時間が取られるので効率が悪い。やはり出発前に準備を万全にすべきではある。)
(2) 情報収集
フィールドの気象、海流、潮汐、地形、航空写真解析、現地の危険生物情報、利用できる手段(サービス)など。
知らない海や山に入るのは、とても怖い。
僕の宮古島でのターゲットはリーフエッジ。
平均で500m以上沖なのです。
離岸流に巻き込まれたら、1時間や2時間では戻って来れないこともあり得ます。
宮古島海域は、僕の知らない海なのです。
慶良間や沖縄本島なら、なんとなく勝手がわかるところもあるのですが、宮古島に行くのはまだ2回目。
前回来たのは6年も前のことなのです。
知らない海は怖い。
風や潮汐のタイミングで変わる海流を読み間違うと、死に直結することもあり得ます。
単純に、僕が泳げる速度より速い流れに巻き込まれれば、それで終わりです。
死にたくないから、出発前にできる限りの情報収集をして臨む。
この日のこの時刻にこの浜の、ここから海に入る。
おそらく潮の流れはこうだろうから、こういうコースを組み立てれば大きく外すことはないだろう、とか。
外した場合のシュミレーションもして臨む。
もちろん、現場入りしての情報(海の状況)が一番状況を左右するのですが、予めシュミレーションをして臨むのと、シュミレーション無しで臨むのとでは心の準備が全然違う。
今回は泳ぐ場所さえ決まっていない。
シュミレーションができている訳がない。
(3) 身体の準備
目も当てられない状態。
特に水泳。
二ヶ月間、一度も泳ぎに行っていない。
僕は奥さんと付き合っている頃、デートより水泳のノルマをこなすことを優先して、奥さんの友人たちから総スカンを喰らいました。
それほど沖縄行きに当たって身体作りを重視している。
身体が出来てない状態でフィールドに臨むことは、死の危険をいたずらに増やす以外の何者でもないのだから、ほかにどうしようもない。
それに、体力に余裕があるほど、集中力の持続時間が長くなり、それだけ写真の質も上がるのです。
その僕が二ヶ月間一度もプールに行けなかった。
職業人人生の記念すべき船出の時期なので、忙しいのはある程度仕方がない。
でも、そんな社会的事情を宮古島は容赦してくれはしない。
追い打ちをかけるように、出発6日前からの3日間、38~39℃台の発熱に苦しみながら業務に就いたため、体重が5%も減少しました。
出発の2日前、2歳の娘と100m散歩しただけで、息切れしている有様。
こんなんで1回平均2時間、沖平均500mのシュノーケリングに耐えられるのか?!
耐えられない(かもしれない)。
では今回の宮古島行きを中止するのか?
「それはあり得ない」
飛行機が予約いっぱいで変更不可能。
気持ち的にも待てない。
ときどき夏のアルプスで、中年の登山隊が遭難して「なんでこんな天候で登山を強行したのか」と世間に責められることがある。
僕もそのたびに天気図を見直して、「こんな天気図で山に行くなんて、素人の集団か?」とか思ってしまうことがある。
でも、その登山隊の中にはなかなかの経験者が含まれていることが少なくない。
彼らはいい歳であり、家族もあり、会社での立場もあるであろう人々。
彼らが、なぜそんな無謀な登山を強行したのか。
「このチャンスを逃したら次がいつになるかわからない」
自然相手にそんな理由があってたまるかと世間はいうかもしれない。
でも、この気持ちは止められない。
少なくとも今回、僕もその愚行を犯すのでした。
いざ、行かん、宮古島!
(それにしても、前置きが長いことよ。もうちょっとストレートにフィールド入りしたいものです。社会人って大変(-_-;))
去年から宮古島にスカイマークが入り、だいぶ(安く)行きやすくなりました。
少なくとも心は貧乏なので、安くないと行けない。
スカイマークが入ってなかったら、たぶん、今回の宮古島行きはなかった(かもしれない)。
仕事が終わったら、家で荷物を拾い、羽田空港近くのホテルで前泊。
「生きて帰ってきてね」とは妻の送りの言葉(大感謝!)。
朝6時台の飛行機で那覇に出発。
那覇で宮古島行きの便に乗り換えです。
那覇行きは満席でしたが、宮古便は予想に反してスカスカでした。
先週の沖縄行きで、飛行機の欠航と、レンタカーの故障というトラブルを喰らったため、宮古島に到着するまで気が抜けませんでした。
宮古便から見えた慶良間諸島。
9月には家族で渡嘉敷に行きたい。
宮古島でレンタカーに乗ったのは正午前でした。
出発前日、学生時代のバイト先、重度障害者自立生活の支援センター、兼、障害者専門のヘルパーステーションが宮古島に進出していたことを知りました。
しかも、知人が何人か赴任している。
昼飯時だけど、知っている店があるわけでもなし。
元バイト先に顔を出して、美味しい店でも教えてもらおうかな。
そんなノリで行ってみました。
「自立生活センター まんた」
ちょうど昼飯時に到着。
予想以上の大歓待を受け、いきなり前触れもなく現れたにもかかわらず、図々しく昼食もご一緒させてもらいました。
調理実習の成果を頂きました。
ステーキのカジキはヘルパーさんのご主人が与那国沖で釣ってきたものだそうです。
自立生活センターでは、施設での療養生活を余儀なくされている重度の障害を持つ成人の方で、ごく普通の地域生活を希望する人を支援しています。
地域で独り暮らしをする以上、食事を自分で用意できなければいけません。
ヘルパーさんに的確な指示を出して、自分の好みの料理を調理してもらうことは、自立に向けて獲得しなければならない生活能力なのです。
宮古島のような離島にも重度の障害者がいて、施設ではなく、成人としてごく普通の生活を地域ですることを希望される方たちがいるそうです。
けど、宮古島では、重度の障害者が地域で独り暮らしをした前例がなく、支援を行う専門的知識やノウハウを持った人が今までいませんでした。
まんたが宮古島入りしたことで、現在2人の方が地域で自立生活を始めたそうです。
昼飯を食ったら、出発です。
まずは来間大橋の絶景を楽しみに行きました。
宮古島に行くまで、僕は動物写真ばかり撮っていて、風景にはあまりカメラを向けませんでした。
しかし、宮古島の海の美しさにはさすがにカメラを向けてしまいました。
写真に刷ってみて、あまりの美しさに驚き、沖縄の風景写真も始めてしまったという経緯があります。
来間大橋の上から臨んだ海。
美しいぃぃぃ!
最高です。
次は長浜ビーチです。
これまた、カレンダーの写真などによく使われる美しいビーチです。
が、現地に行ってみてビックリ。
建設中の伊良部大橋がバックに大きく入ってしまい、風光明媚だった風景がポシャッてしまっていました。
残念です。
にしても、日射しが半端ない。
強烈です。
時刻は15時過ぎ。
さて、どうしようか?
実は、予定を全く考えて来なかった。
大神島に向かうか、宮古島の海と森を攻めるか。
それとも、伊良部島に向かうか。
いろいろ考えたあげく、4日間の滞在中、伊良部島には絶対行くのだから、そのタイミングを考えるのが面倒になり、真っ先に行ってしまうことに決定。
スーパーライナーはやてに飛び乗りました。
伊良部島到着。
さて、どこに泊まろうか。
宮古島では何カ所か野営をする場所をすぐに思いつくのですが、伊良部島では思いつきませんでした。
まあ、何とかなるのですが。
唯一思い出したのが、前回来たとき、数日間一緒に行動した人が泊まった場所。
パイロット訓練場の療と同じ敷地内にある「さしばの里」。
肉体的疲労もあり、特に予定もなく、日も傾きかけており、自然とレンタカーがそこに向かったのでした。
さしばの里。
4700円で2食付き、6畳部屋が2つと、風呂トイレ、家具一式と調理器具、ちょっとした調味料。
独りで泊まるには充分です。
野宿するか、宿泊するか。
どっちも善し悪しです。
今回は体力の低下が著しい状態で臨んでいるので、まあ、宿泊が正解だったのでしょう。
体力が許すのであれば、野宿の方がいいのかもしれません。
宿(やど)は心地よすぎるんです。
ホッと気が抜けるので、疲れが表に出やすい。
すると、ついつい腰が重くなる。
野宿をしていればある程度の緊張感が常にある上、社会の一般常識と照らし合わせて、寝ていてよいはずの場所ではないので、腰は常に軽い。
朝日が昇れば暑くてテントの中には留まれたものではない。
今回、実質4日半しかない。
時間にして108時間しか宮古島で自由になる時間がない。
宿に腰を落ち着けている場合ではないのです。
が・・・・今回ばかりは身体が重すぎた。
猛烈な暑さで、寝るだけで体力を使う野宿を強行して、体調でも崩した日には目も当てられません。
今回ばかりは僕も宿泊を選択せざるをえませんでした。
早速、泳ぐ場所の下見をしたりして夕刻を過ごしました。
その夜は見事な満月でした。
道路にはオカガニがそこかしこに見られました。
よく見るとみんな雌です。
お腹に卵を抱えている。
オカガニは6~8月の大潮に産卵するという。
ちょうどその時期に当たったわけです。
翌日泳ぐ場所の再確認をし終わったら、、、伊良部島と言えば、まずはヤシガニです。
人口急増中、開発急進行中の宮古島では、食べ尽くされて数が激減しているヤシガニですが、伊良部島はまだまだいるはずです。
車を流し、適当に目星を付けた場所で車を降りて、歩き始めて5分。
いました!
ほかにもヤシガニを見かけましたが、いかんせん藪の中。
追いかけるにも、体力に余力がなく、気力も尽きたので、見るだけに留めました。
伊良部島にヤシガニはたくさんいます。
しかし、2年後に伊良部大橋が完成すれば、宮古島から気軽に伊良部島に足を運ぶことが出来るようになります。
きっと、伊良部島のヤシガニも激減するに違いありません。
ヤシガニはとっても美味しいそうです。
ですが、数が大激減した沖縄本島の元住人としては、もったいなくて食べる気になりません。
こいつも足を広げれば30cm以上あるので、きっと市場に持ち込めば5千円とかで売れるはずだし、自分で食べてもいいはずなのですが、そうしませんでした。
しっかりした保護策がとられて、安心して食べられる日が来ることを祈ります。
(未確認情報ですが、宮古島ではある一定の大きさ以上でなければ捕獲しない決まりがあるようです。それならば少し安心できる。沖縄本島の市場では「こんなに小さくちゃぁ、食う場所もあんまないだろうに・・・」と思ってしまうような小さな個体まで売られています・・・。)
蝉の脱皮。
7月上旬ですし、適当に歩いていれば見れるような気もします。
でも、いつみてもキレイ。
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