2024/03/16 にBKP130にIRフィルター改造EOS 70Dをつけて、ホワイトバランス探しをしながらオリオン大星雲を撮影しました。
そして、BKP130の星の写りがおかしいことを改めて認識しました。
光条の分布が不均一です。
これは、撮影時にBKP130の接眼筒が鏡筒内に大きく飛び出ているためです。
下は2023/11/18の写真ですが、これをみる(写真の左上側)と、鏡筒内に接眼筒が飛び出ているのが写り込んでいます。
なぜ天体望遠鏡メーカーであるSky-Watcherがこんな設計にしたのか。
多分ですが、眼視を前提に設計したものと思われます。
一眼レフカメラのセンサーは、接眼筒の末端からフランジバックの分、遠くなります。
眼視ではフランジバックがないので、接眼筒をフランジバックの分、引き出す必要があり、接眼筒が鏡筒内に残らないのだと思います。
上の考察は、眼視の際に用いるアイピースの幅がどう効いてくるのか、考慮してませんが。。。
「BKP130 改造」とか検索すると、この手の情報が大量に出てきます。
それを参考に、僕も接眼筒を切断して、黒く塗装することにしました。
接眼筒の切断幅は、YouTubeを参考にビニールテープの幅としました。
アルミの筒を切断するのですから、ちょっと力仕事になるかと思ってました。
作業台に固定して、金鋸で切断してみると、意外や意外。
10分以内に切断することができました。
これでBKP130鏡筒内に接眼筒の先端が飛び出る問題は解決するわけですが、接眼筒の外側、見ての通り、キラキラの銀色です。
これでは星の光が乱反射してしまう。
Sky-Watcher、なぜ接眼筒の外側を黒く塗ってないのか?
やはり眼視を前提に設計しているのかなぁ。
眼視ならおそらく、影響しないでしょう。
光条がどうのとうるさいのは撮影派だけなんでしょうね。
(★★★2024/07/02追記。切り足りなかったです。焦点を合わせた位置で、まだ接眼筒の先端が鏡筒内に目立ちました。やむなく後日、5mm切り足しました。猫五郎は合計で26mmほど接眼筒の先端を切断しました。)
黒く塗装。
手元にあった油性塗料を用いました。
艶消し塗料がベストですが、実際に写真の写りで見分けはつかないんじゃないかなぁと思ってます。
カメラの焦点が合う位置は大体ですが、接眼筒を1cmほど引き抜いたあたりになります。
その位置にすると、この通り、接眼筒が鏡筒内にほとんど出なくなりました。
さてさて、ここからは光軸調整のお話です。
まず最初に、OCAL electric collimatorをご存知ない方のために。
OCAL electronic collimatorでは、
・ソフトウェアが表示する黄緑色の円と、接眼筒の輪郭の円を合致させます。
・ソフトウェアが表示する赤い円と、斜鏡の輪郭の円を合致させます。
・ソフトウェアが表示する青い円と、斜鏡に映った主鏡の輪郭の円を合致させます。
・ソフトウェアが表示するピンク色の十字の交点と、主鏡の中心を合致させます。
OCAL electronic collimatorでは、上記を満たすと光軸が合うことになっています。
別の言い方をすると、
・接眼筒の輪郭の円
・斜鏡の輪郭の円
・斜鏡に映った主鏡の輪郭の円
これら3つの円が同心円になれば、光軸が合っている、ということです。
2023/11/18にBKP130の光軸調整を行いましたが、そのときは不完全に終わり、若干心残りでした。
参考までに、その時の光軸調整結果の写真を再掲します。
このときは、赤いカメラ(OCAL electronic collimator)が(斜鏡に映った)主鏡に映った斜鏡の中心に来ていないことが気になりました。
また、この写真から、接眼筒が鏡筒内に大きく飛び出て写っているのがわかると思います。
(もしかしたらこのときはカメラのピントが合う位置に接眼筒を調整せずに光軸調整をしていたのかもしれませんが。。。)
さてさて、光軸調整の始まりです。
スタート地点。
つまり、調整前の状態です。
接眼筒が見えないのがうれしい (^-^)
ん?すでに光軸が結構ズレている?
いや、おそらく前回光軸調整をしたとき、接眼筒をピントが合う位置に引き出していなかったのでしょう。
これが光軸調整し終わったところ。
結局、赤いカメラ(OCAL electronic collimator)が、主鏡に映った斜鏡の中心に写っていない。
斜鏡の中で、(この写真で)下側に目一杯寄っている。
これでは前回とほとんど同じではないか。
そこで、やり直すことにしました。
この写真の下側が斜鏡の接眼部に近い側なので、主鏡に写った斜鏡の中心に赤いカメラ(OCAL electronic collimator)が移動するためには、おそらく、斜鏡の引ネジをもっと引けば良いのではないかと考えました。
斜鏡の引ネジを締める方向(時計回り)に回して、斜鏡をスパイダーの近くまで寄せてから再度、光軸調整を行なったのが、これ。
ほとんど変わらんではないか!
じゃぁ、僕の考えが間違っていたのかもしれない。
斜鏡の引ネジを緩めて(反時計回りに回して)、斜鏡をスパイダーから大きく離してみたらどうなるか。
斜鏡の引ネジを緩めて、斜鏡をスパイダーからかなり離してみました。
引ネジを緩めすぎて、斜鏡が主鏡に落下しないか気をつけながら行いました。
その状態で光軸調整を行なった結果が、下の写真です。
どうやっても光軸が合いませんでした。
そもそも、斜鏡の輪郭と赤い円(赤いカメラではない)がどうやっても一致しない。
ただし、僕が予想した通り、斜鏡の引ネジを緩めると、主鏡の中に映った斜鏡の中で、赤いカメラ(OCAL electronic collimator)が上側に移動しました。
今度は逆に、斜鏡がスパイダーに接するまで引ネジを目一杯締め上げてみることにしました。
が、念には念を入れて、引ネジを締め上げて斜鏡を引き上げ切る途中で、もう一度止めて、中途半端な位置で再度光軸調整を試みました。
その写真がこれ。
赤いカメラが主鏡に映った斜鏡の中で、より中心に移動してきたのがわかります。
が、これ以上、光軸調整ができませんでした。
これでは、主鏡の輪郭と青い円が全く重なっておらず、ダメダメです。
ので、この位置もハズレだったということです。
斜鏡がスパイダーにくっつくまで引ネジを締め上げた時の写真です。
斜鏡の輪郭と赤い円がほぼ一致しています。
これなら光軸調整がやりやすい。
ただし、斜鏡がスパイダーに押し当たったままでは斜鏡の押しネジを使った光軸調整ができないです。
なので、ほんの少し引ネジを緩めて、押しネジで光軸調整を行うことにしました。
斜鏡の光軸調整後。
依然、主鏡に映った斜鏡の中で、赤いカメラが下側に偏っています。
なお、斜鏡をこの位置に固定すべく、引ネジを強く締めたら、スパイダーが歪んで光軸がまたズレました。
斜鏡を手で持ってひねり、スパイダーの歪みを修正しました。
最後に、主鏡の引ねじを使って、カメラの中心がピンクの十字の中心に来るように調整して終了です。
なお、主鏡の中心円を示すドーナツ状のシールと、ピンク色の十字の中心が若干ズレているのがわかりますか?
ピンク色の十字の交点は、主鏡の輪郭を示す青い円の中心と一致します。
つまり、主鏡の中心円のシールの位置がズレているということです。
主鏡の中心円のシールはメーカーが貼付したものだったと思います。
自分で貼り付けた記憶がないです。
このサイズの円のシール、僕は持ってないと思いますし。。。
なお、OCAL electronic collimatorのマニュアルには、こんなことが書いてあります。
You will find that the centre of the primary mirror (usually marked by a ‘donut' sticker or other mark) is also now perfectly aligned with the camera lens.
If it is not, it is probably that the ‘donut' sticker is not precisely in the centre of your primary mirror (see Appendix B).
つまり、主鏡の中心円がズレていることは、よくあることなんですかね???
結局、接眼部差し込んだ赤いカメラ(OCAL electronic collimator)が、主鏡に映った斜鏡の中心に来ない。。。
これでいいのだろうか??
斜鏡の引ネジをうまく調整すれば、赤いカメラを主鏡に映った斜鏡の中心に持ってくることは可能でしょう。
しかし、それだと斜鏡の輪郭と赤い円がズレる。
主鏡と青い円もおそらく重ならないでしょう。
ふと、自分の過去の記事を思い出しました。
そうだった。
主鏡に映った斜鏡の輪郭は、主鏡の輪郭と同心円にならないのが正解でした。
斜鏡がオフセットされている、つまり、中心からズレた位置にあるためです。
斜鏡の断面は円ですが、主鏡の中心からズレた位置に配置されているので、同心円になりません。
よくよく見直すと、OCAL electronic collimatorのマニュアルに載っている写真でもそうなってました (-_-;)
また、斜鏡に映る赤いカメラの中心は、主鏡(青い円)の中心に来るべきなのです。
(下の図では、「接眼筒の輪郭の円」と「光軸修正アイピースの先端円」と光軸修正アイピースの反射鏡」は同心円になる)
赤いカメラが斜鏡の輪郭ギリギリまで寄ってしまうのは、赤いカメラが接眼筒の面積全てを占めているから、つまり、大きいからでしょう。
フルサイズセンサーは赤いカメラ(OCAL electronic collimator)よりもかなり小さいので、問題ないでしょう。
ですが、この小さな斜鏡とあっては、フルサイズセンサーではケラれないとしても、周辺減光が厳しく、現実的にはAPS-Cで撮影することになるのではないでしょうか。
フルサイズセンサーは赤いカメラ(OCAL electronic collimator)よりもかなり小さいので、問題ないでしょう。
ですが、この小さな斜鏡とあっては、フルサイズセンサーではケラれないとしても、周辺減光が厳しく、現実的にはAPS-Cで撮影することになるのではないでしょうか。
ここで話しがおしまい、とはなりませんでした。
オマケがついてきました。
昼飯時だし、これで一旦終了しようかと思って、BKP130を持ち上げて横に抱えたときです。
青い円を見てください!!
(映っているのは、壁にかけてあったポリ袋です)
暗くて見えづらいかとは思いますが、主鏡の輪郭と青い円がズレたのがわかるでしょうか?
つまり、鏡筒を持ち上げたことで、鏡筒が歪み、光軸がズレたことを意味します。
これを、些細なズレとするか、問題であるとするか。。。悩ましいところです。
BKP130を光軸調整していた時の状態に戻した時の写真です。
主鏡の輪郭と青い円が再び一致しました。
うーむ、つまり、ニュートンの光軸調整は、撮影する時と同じ状態で行わないとダメだということですね。。。
今回は、BKP130を赤道儀から下ろし、鏡筒バンドを外した状態で光軸調整を行いましたが、鏡筒バンドで締め上げたら、光軸が変化するということです。
GINJI-250FNで、望遠鏡の向きを変えただけで光軸がズレることを経験で知っています。
GINJI-250FNの光軸の実際 参照してください
GINJI-250FNは鏡筒の強度に対して、主鏡がやらた重いので仕方がないかと思ってました。
BKP130は軽い筒なので、そういう心配はあまりしないでいいのかな、と勝手に思い込んでました。
が、幻想でした。
ニュートン式望遠鏡は、やはり鏡筒の強度が大きな問題ですね。
カーボン鏡筒にしたいですが、、、高額です。
あぁ、今日も家に持ち帰った仕事が一つも進まなかった。。。
2024/07/31追記
未だ、光軸調整を極められたと思ったことは一度もありません。
猫五郎の光軸調整のその後の軌跡をリンクにまとめました。
作文的に混乱を招いたようで、済みません。m(_ _)m
本来、回転放物面主鏡とは回転面(z軸)が存在している筈で、
これが光軸と同じでなければなりません。
一般に主鏡の加工上の精度からは必ずしも鏡周から割り出した中心が回転中心とは思えず、センターマークは
主鏡の中心にあるとは限らないと思います。
よって、このようなシビア?な調整をやると、その誤差が
検出されて不思議はなく、現状は実用の範囲で光軸を
求めているように思います。
(^0^)なら主鏡の水平位置の微動(半固定)が欲しくなるとこです。
実は手元に改造しまくった結果としてのGINJI-150FNを友人から預かっています。
元が軽いGINJI-150FNがガチガチに固められて、ものすごく重いです。
BKP130といい、GINJI -150FNといい、人の情熱と時間をものすごく吸い取る機材のようですね (^_^;)
究極の形にできなくとも、その過程を楽しむべき事柄なのかもしれません。
光軸が合うとは、どんなことなのか。
それを理解してないから、振り回されるのは仕方がないかと。
しかし、頭を悩ませると少しずつ理解が深まっている感じはあります。
オフセットは接眼部に光を導く鏡が、過不足なく主鏡の反射光を接眼部に導ける位置に配置しただけなんですね。
それが今回、やっと腑に落ちました。
そこら辺をもっとわかりやすい図で提示したいのですが、あいにくAdobe Illustratorが使えない環境になってしまったので、それが叶いません。
いずれ機会をみつけて製図してみたいです。
ちなみに、(^0^)コメトさんのいう「主鏡の中心位置」と、「主鏡中心」はどこのことですか?
いわゆる主鏡のセンターマーク(ドーナツ)は、どちらにあたるのでしょうか?
(^0^)コメトさんのカキコをみて、ふと、主鏡面からカメラセンサーまでの距離は、主鏡面の位置によって、異なるのか?とか思ってしまいました。
なんせ、レンズや反射鏡は、光を一点に集める構造をしていますが、実際には、レンズや反射鏡で集められた光を受け止めるカメラセンサーは平面ですから、そんなに単純ではなさそうですね。
それもイラストレーターで図面にしてみれば、主鏡の各位置から、カメラセンサーへの距離が割り出せるのです。
が、うーむ、まずは時間の確保。
次は予算の確保でしょうか。
ニュートンは結局、どこで妥協するか、に落ち着くのかもしれませんね (^_^;)
BKP130の光軸調整、苦労されているようですね。
ネットで検索するとこの鏡筒の改造記事が沢山見受けられます。
それだけ同様のユーザーが居るということですね。
私もGINJ-150NFを購入しましたが各部の剛性が弱くてかなり改造、補強しましたが満足の行く結果が得られませんでした。
猫五郎さんが書かれているように鏡筒バンドを付けて撮影する状態で光軸調整をするのが良いかと。
何やら小型?のニュートン反射の光軸で苦労されているようで。。
主鏡の中心位置が主鏡中心でないのは自明の事と思います。(~ ~;
良く、こうすれば光軸が出せる、、の類の解説には主鏡の
中心が既に出ているとして事で、このようにまともに調整と
なると、中心=光軸とは違うのが検出されます。(^0^8
(^0^)の経験ではF5程度からその誤差が大きく検出され、
中心誤差のオフセットも必要となるように思います。
まして写真で使うとなると、完全な写野の中心を求めないと
全面に平均のピントは来ないと思われ、収差も良く分かる。
カーボン鏡筒は一考の価値のある選択ですが、(^0^)の
場合はSE200N/CRの鏡筒はt0.6㎜の鉄板であり、かなり
撓んでしまいますから、悩みの程度も良~く分かります。
これを避ける方法も他でやってる例を見掛けますが
補強すると重くなると思うと、どう撓むのか?を配慮の上、
使用しているのが現状。。妥協策ダナ!(^0^;