ジル・ビルヌーブ・サーキットで現地8日(土)、2019年FIA F1世界選手権第7戦カナダGP予選が行われ、フェラーリのベッテルがポールポジションを獲得した。
モントリオールのセント・ローレンス川に浮かぶ人工島、ノートルダム島に特設されたコースにピレリが用意したのはC3からC5のコンパウンド。前戦モナコGPと同じく最も柔らかい組み合わせが採用され、予選Q3にはソフトタイヤとして扱われるC5が指定された。
予選までに行われた3回のフリー走行はいずれもトップドライバーが異なっており、初回セッションはハミルトン(メルセデス)、2回目のフリー走行はルクレール(フェラーリ)、そして予選直前に実施された土曜フリー走行はベッテルが最速タイムを刻んでいる。
快晴に恵まれたモントリオールは気温21.6℃、路面温度47.3℃、湿度22.7%のドライコンディションでQ1の開始時刻を迎える。ピットレーンがオープンして1分ほどは動きがなかったが、ウィリアムズのクビサとラッセルが始動してレーシング・ポイントのストロールが合流した。ストロールは土曜フリー走行でトラブルに見舞われたものの、予選までにパワーユニットの交換を完了して無事に出走を果たしている。
トップ3チームの中で最初に始動したルクレールが1分11秒台に入れてトップタイムを刻み、ベッテルが0.553秒差で2番手につけるも、レッドブルのフェルスタッペンがそれを上回り、さらにメルセデス勢もベッテルより速いタイムで最初のアタックを終えた結果、ルクレール、フェルスタッペン、ハミルトン、ボッタス(メルセデス)、ガスリー(レッドブル)がトップ5に並び、6番手にはマクラーレンのノリスが入った。
上位勢の2度目のアタックではボッタスが1分11秒229をマークしてトップに浮上するも、再度クイックラップに臨んだルクレールとベッテルがベストタイムを更新。Q1序盤はボッタスのタイムを0.029秒上回ったベッテルが最上位につけ、ルクレールが0.014秒差で2番手、ボッタス、ハミルトン、フェルスタッペン、ガスリーのトップ6となった。
"ベスト・オブ・ザ・レスト"の7番手以下の混戦はモントリオールでも継続しており、18番手にいたアルファロメオ・レーシングのライコネンまでが0.6秒差で連なっており、ノックアウトゾーンを分ける15番手と16番手のギャップはわずかに0.033秒しかない。
Q1終盤にはノリスやトロ・ロッソのアルボンがペースアップに成功してガスリーよりも速くラップをまとめたほか、多くのドライバーが自己ベストを更新してQ2進出へのきっぷを競い、最終的にQ1敗退を喫したのは16番手から順にセルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)、ライコネン、ストロール、ラッセル、クビサだ。
10番手だったトロ・ロッソのクビアトからストロールまでは0.3秒差しかなく、明暗を分けた15番手のジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)とペレスのギャップは0.075秒、さらにペレスは13番手でQ2に進んだマグヌッセン(ハースF1)からも0.09秒しか遅れていない。
Q2はメルセデスが真っ先にコースに向かい、フェラーリがそれに続く。4台に加えてフェルスタッペンもミディアムタイヤを選んでいるが、それ以外のドライバーはソフトタイヤでアウトラップをスタートさせている。ガスリーとハースF1のグロージャンはしばらくガレージから出てこなかったが、タイミングをずらす作戦に出たようで5分が経過した頃に出陣した。
いたるところでトラフィックが発生しており、思うようにスペースを見いだせないドライバーも多かったが、メルセデス勢は早々に1分11秒台をマークしてピットに引き上げ、ライバルよりも好タイムを残すフェラーリコンビは1周長く走ってコースを離れている。上位3チームでは唯一ソフトタイヤを選んだガスリーが1分11秒196をマークして2番手に飛び込み、1-2態勢を築いていたフェラーリの間に割って入った。この時点でトップはベッテル、ガスリーをはさんでルクレールが3番手につけ、3台のギャップは0.063秒だ。
4番手と5番手に並んでいたハミルトンとボッタスは新しいミディアムタイヤに履き替えて再びアタックに臨み、ハミルトンが1分11秒010を記録してトップに立つと、ボッタスも0.085秒差の好タイムを残して2番手に浮上した。
ガスリーだけがガレージから戦況を見守ったQ2終盤は、序盤にミディアムを履いたメルセデスやフェラーリ、フェルスタッペンがソフトタイヤに切り替えて出陣。フェルスタッペンはミディアムでは11番手にとどまっており、混戦の中団グループからの脱出が必要だった。
しかしながら、Q2終了のチェッカーフラッグが振られた直後、Q2突破を目指してプッシュしていたマグヌッセンがウオール・オブ・チャンピオンズの餌食となり、衝撃で逆サイドのウオールにも激突、反動からさらに逆サイドに移動してようやく停車した。マグヌッセンのクラッシュでセッションはすぐさま赤旗が振られ、ラストアタックに臨んでいた全車がラップを完了できずにピットへの帰還を命じられている。
幸い、マグヌッセンは自力でマシンを降りており、目立ったケガはないようだ。
Q1同様に100分の数秒が運命を分けたQ2はクラッシュしたマグヌッセンに0.014秒差でフェルスタッペンがノックアウトを喫し、他にクビアト、ジョビナッツィ、トロ・ロッソのアルボン、ハースF1のグロージャンが予選を終えた。
マシンを降りたフェルスタッペンは「別に落ち込んでいないさ。しょうがない。F1ではこういうこともある」とコメントしている。
マグヌッセンのマシン撤去と路面の清掃作業に時間を要したため、Q3開始は予定より17分遅れで始まり、ピットレーンオープンと同時にガスリーがガレージを出発した。少し間を置いて他のドライバーも動き出し、マグヌッセンを除く9名が順次アウトラップをスタートさせている。
ボッタスがアタックに入った直後、ターン2付近でバランスを崩してスピンを喫してしまい、ラップを断念したほか、ユーズドタイヤで走ったノリスはタイムを残さずにピットに引き上げた。7名がタイムを刻み、トップに立ったのは1分10秒493をマークしたハミルトン。ベッテルが0.188秒差で2番手につけ、ルクレールは0.6秒遅れている。
9台すべてが新品のソフトタイヤを履いて挑んだラストアタックは、おそらくマシンに多少なりとダメージを抱えていると見られるボッタスが1分11秒台にとどまる中、ハミルトンが1分10秒446にペースアップしてリードを広げた。ルクレールはハミルトンに届かなかったものの、直後にコントロールラインを通過したベッテルが1分10秒240をたたき出してポールポジションを奪取、セクター1とセクター2でファステストを刻んだハミルトンよりも0.206秒速くラップをまとめている。
ハミルトンがフロントローに並び、ルクレールが3番手、隣の4番グリッドにはルノーのリカルドが食い込み、ガスリーが5番手、ボッタスは6番手で予選を終えた。7番手以下はヒュルケンベルグ(ルノー)、ノリス、カルロス・サインツ(マクラーレン)と続き、マグヌッセンが10番手の結果を得ている。
ホンダPU勢、ガスリーが5番手になったものの、フェルスタッペン以下トロ・ロッソ・ホンダの2名もQ2敗退。
決勝では厳しい位置ですが、2戦連続で4名全員の入賞を期待したいですね。