大入りの観客がスタンドを埋め尽くしたシルバーストーン・
サーキットにて、5日(日)日本時間21時から2015年FIA F1
世界選手権第9戦イギリスGP決勝が実施された。
前日に行われた予選ではランキング首位のハミルトンが
ポールポジションを獲得。母国グランプリ制覇に向けて絶
好のスタート位置を確保した。チームメイトのロズベルグ
が2番手、フェラーリ勢を抑えてウィリアムズのマッサが3
番手に入っている。
1950年に記念すべき第1回のF1グランプリを開催したサ
ーキットは歴史の中で姿を変え、現在は1周5.891km、52
周で決勝レースが行われる。決勝日の天候は曇り、気温
19℃、路面温度32℃、湿度32%のコンディションだった。
ナッサーを欠く19名がシグナルオフと同時にグリッドから
蹴りだすと、ターン1までに先頭に立ったのはハミルトンで
もロズベルグでもなく、その間からするりと抜け出た3番手
スタートのマッサだった。4番手スタートのボッタス(ウィリア
ムズ)もハミルトンに並びかける位置までに前進。また、9
番グリッドから発進したフォース・インディアのヒュルケンべ
ルグが5番手に浮上した。
一方、隊列の後方ではロータスのグロージャンとマルドナド
、マクラーレンのアロンソとバトンがそれぞれ同士討ちを演
じ、セフティーカーが導入される。ストップしてしまったロータ
スコンビとバトンのレースは早くも幕を閉じたが、アロンソは
緊急ピットインでダメージを負ったフロントウィングを交換し
隊列の後方に合流した。
3周目にレースがリスタートすると、ハミルトンがマッサから
先頭を奪い返そうと襲いかかるも、マッサは手堅い守りで
これを寄せ付けす、ハミルトンはわずかにコースオフを喫す
る。この隙を突いてボッタスが2番手に上がり、上位4名は
マッサ、ボッタス、ハミルトン、ロズベルグのオーダーに変わ
った。
先頭の4台のギャップは小さく、ハミルトンが失地回復を狙う
のみならず、2番手ボッタスもマッサの後ろにぴたりとつけて
チャンスをうかがった。一瞬の油断も許されない状態で周回
を重ねた4人から最初に動いたのはハミルトンで、20周目に
ミディアムからハードに履き替えた。
続く21周目にマッサとロズベルグが同時にピットに向かい、
素早くタイヤ交換を終えたロズベルグがピットレーンでマッサ
に並んだものの、マッサが前を守ってコースに復帰する。し
かし、1周前にピットインしたハミルトンのプッシュが奏功し、
ハミルトンがここでラップリーダーの座を取り戻した。
レース中盤にかけて空模様が怪しくなり始め、チームからド
ライバーたちに雨が迫っているとの連絡が飛ぶ。ただし、コ
ースの一部でコンディションが悪化しているものの別の部分
では降雨のない状態で、すぐに雨用タイヤに切り替える陣営
はなかった。
しかし、路面状態が悪い場所ではコースオフするマシンが複
数見られ、39周目にライコネンがインターミディエイトを選択。
他にもエリクソン(ザウバー)、アロンソ、スティーブンス、メル
ヒが同じタイヤを選んだ。
その後の天候という点ではインターミディエイトを選んだ面々
にとって裏目の展開となり、雨が思ったほど強まらずタイム
が伸び悩む。
いつくるのか分からない雨に対応すべく、今回の先陣を切っ
たのはポイントリーダーのハミルトンで、44周目に5番手ベッ
テルと共にハードからインターミディエイトに履き替える。
これが大正解で、2人がコースに復帰してすぐに雨脚が強ま
り、翌周にはロズベルグと3番手、4番手のウィリアムズ勢ら
が一斉にピットに向かった。最終的にはコース上に残ってい
る13台すべてがインターミディエイトタイヤを装着しており、
ベッテルは一気に3番手に踊り出た。
レース終盤の展開を大きく左右した雨も最後には気まぐれに
去っていき、灰色の空の向こうから 現れた青空に祝福された
ハミルトンが母国でトップチェッカーを受けている。
2位ロズベルグと3位ベッテルがハミルトンと共に表彰台に上
り、4位からはマッサ、ボッタス、クビアト、ヒュルケンベルグ、
ライコネン、ペレスというオーダー。10位で最後のポイントを
もぎ取ったのはこれがマクラーレン遺跡後初の得点となるア
ロンソだった。
11位エリクソンからメルヒ、スティーブンスを加えた13台が完
走を果たした。
マクラーレン・ホンダ アロンソ、10位では喜べないでしょが、
まずは、おめでとう!