7月28日(月)名古屋地方裁判所にて、デンソーの原告Kさんがトヨタ自動車とデンソーを訴えていたうつ病・パワハラ損害賠償裁判が開かれ結審を迎えた。
午後3時からの開廷にぞくぞくと傍聴者が押し寄せほぼ満席となった。原告のKさんが最終意見陳述書を感情こめて話されて提出された。
最後に裁判長から結審を言い渡され、10月30日(木)に判決が下されることになりました。
うつ病を患いながら仕事をこなし、提訴以来2年2ヶ月かけて裁判を取り組んできました。「辛く長い道のりでした」(最終意見陳述書より)本当にお疲れ様でした。勝利判決が出るまで支援の輪をひろげていきましょう。
以下最終意見陳述書の要約です。
最 終 意 見 陳 述 書
2008年7月28日
最初にこのような意見陳述をさせて頂ける機会を与えて下さったことに感謝いたします。
2006年5月11日に提訴してから、2年2か月が経ちました。うつ病を患いながら仕事と裁判の準備は本当に大変で、辛く長い道のりでした。それでも倒れずに毎回裁判に出席し、こうして無事に結審の日を迎えることができました。
私は2000年と2002年に過労とパワハラによるうつ病で会社を休職していた当時は、気力も体力も消耗しきって、顔の表情も無くなり、身も心もボロボロ状態になりました。何もやる気がおきず、毎日寝たきり状態で、家族との会話も無くなり、先が見えない長いトンネルの中にいるような思いでした。
最初の発症から既に8年が経過していますが、未だに完治せず、通院、投薬治療を余儀なくされています。うつ病は『心の風邪』とよく表現されますが、風邪のように1週間程度で治るような軽いものでは決してありません。少なくとも数年、長い場合10年、20年以上にわたって治療を続けている人もいますし、最悪は自殺にも繋がる本当に怖い病気です。
私は入社以来、ディーゼルエンジンの噴射装置の設計技術者として、機械式ポンプ、電子制御式ポンプ、コモンレールと時代の変化に即した新しい高度な技術、システムの設計担当をしてきました。それは、会社が進むべき方向性を理解し、新しい製品分野に挑戦する人が必要と考え、自らもステップアップしていかなければ上司の期待に応えることができないと思ったからです。
1999年8月からトヨタ自動車へ長期出張した時は、人員不足の中、最新鋭のコモンレールの学習をしながら突発的な品質不具合業務など睡眠時間や休憩時間を削りながらも何とか対応していました。しかし、上司のF主査から早急な対策を迫られ、周りに支援者も無く、心理的に追い込まれる状態でした。
また、デンソー側もF主査からの理不尽な叱責の際も全く私ひとりの責任にし、その後も配慮をしてくれませんでした。過労うつ病になって倒れてからは自己責任を押し付け、人事査定を下げました。デンソー側の設計ミスで私が長時間労働で対応しているのに、裁判では、私の職務怠慢だと言っているのです。こんなことが許されるのでしょうか。
私が当時相談した時に、真剣に対処をしてくれていれば、私はうつ病にならなくて、こんな不利益も被らずに今現在も生き生きと働いていたと思います。健康な身体を返してほしいと思います。
トヨタ・デンソーでは、36協定の趣旨は無視し、少ない人員で対応するために恒常的に長時間労働を行わせてきました。本来は労使協定を結んでいる労働組合が長時間労働を防止する役割を担っていますが、使用者側の言いなりで締結されています。組合員の健康を守るべき労働組合の役目が全く果たされていない状況です。
デンソーでは、3か月以上休職している従業員が相当数おり、その中でうつ病などの精神疾患の人もたくさんいると聞いています。休職まで至らないまでも、その予備群はもっとたくさん存在すると思われます。また、メンタルヘルスの相談件数も多く、産業医の数も不足しているようです。
真面目に一生懸命に働いている社員が次々に過労やうつ病で倒れていき、休職や退職に追い込まれています。
私の体調が悪くなり、メンタル不全で、上司に業務上の配慮を求めていた時も、上司は、仕事を減らすこともせず、新しい仕事をあるだけ与えるという状況でした。会社側は私に対し、毎日のように早く帰るよう指示したと言っておりますが、それは嘘です。しかも、当時、裁量性の無いたくさんの仕事があり、仮に早く帰れといわれたとしても、到底早く帰れる状況になかったのです。それは同僚のY氏の証言からも明らかです。それで私のうつ病は増悪していきました。このような上司の態度では、職場の人間の健康が守られることはなく、管理職の姿勢に問題があると言わざるを得ません。
社内の問題点は、その中で実際に働いている社員が一番よくわかっていると思いますが、『自分が言ったところで何も変わらない』と諦めたり、『何らかの不利益を被る』ことを恐れ、目の前にある問題に目を背けることが多いのが現実です。しかし、私は内側にいる社員こそが、声を上げなければ何も変わらないと思い、裁判をおこしたのです。
過去の準備書面や口頭で申し上げてきたことが事実であることが前回の証人尋問で裁判官の皆様にはご理解頂けたと思います。私がうつ病になった原因がトヨタ、デンソーでの過酷な仕事であることは明らかです。
今後、仕事やパワハラでうつ病になる人がひとりでも少なくなるようにどうか公平な良い判決をお願いいたします。
以上
明日から2回に分けて、証人尋問の傍聴記を掲載します。
午後3時からの開廷にぞくぞくと傍聴者が押し寄せほぼ満席となった。原告のKさんが最終意見陳述書を感情こめて話されて提出された。
最後に裁判長から結審を言い渡され、10月30日(木)に判決が下されることになりました。
うつ病を患いながら仕事をこなし、提訴以来2年2ヶ月かけて裁判を取り組んできました。「辛く長い道のりでした」(最終意見陳述書より)本当にお疲れ様でした。勝利判決が出るまで支援の輪をひろげていきましょう。
以下最終意見陳述書の要約です。
最 終 意 見 陳 述 書
2008年7月28日
最初にこのような意見陳述をさせて頂ける機会を与えて下さったことに感謝いたします。
2006年5月11日に提訴してから、2年2か月が経ちました。うつ病を患いながら仕事と裁判の準備は本当に大変で、辛く長い道のりでした。それでも倒れずに毎回裁判に出席し、こうして無事に結審の日を迎えることができました。
私は2000年と2002年に過労とパワハラによるうつ病で会社を休職していた当時は、気力も体力も消耗しきって、顔の表情も無くなり、身も心もボロボロ状態になりました。何もやる気がおきず、毎日寝たきり状態で、家族との会話も無くなり、先が見えない長いトンネルの中にいるような思いでした。
最初の発症から既に8年が経過していますが、未だに完治せず、通院、投薬治療を余儀なくされています。うつ病は『心の風邪』とよく表現されますが、風邪のように1週間程度で治るような軽いものでは決してありません。少なくとも数年、長い場合10年、20年以上にわたって治療を続けている人もいますし、最悪は自殺にも繋がる本当に怖い病気です。
私は入社以来、ディーゼルエンジンの噴射装置の設計技術者として、機械式ポンプ、電子制御式ポンプ、コモンレールと時代の変化に即した新しい高度な技術、システムの設計担当をしてきました。それは、会社が進むべき方向性を理解し、新しい製品分野に挑戦する人が必要と考え、自らもステップアップしていかなければ上司の期待に応えることができないと思ったからです。
1999年8月からトヨタ自動車へ長期出張した時は、人員不足の中、最新鋭のコモンレールの学習をしながら突発的な品質不具合業務など睡眠時間や休憩時間を削りながらも何とか対応していました。しかし、上司のF主査から早急な対策を迫られ、周りに支援者も無く、心理的に追い込まれる状態でした。
また、デンソー側もF主査からの理不尽な叱責の際も全く私ひとりの責任にし、その後も配慮をしてくれませんでした。過労うつ病になって倒れてからは自己責任を押し付け、人事査定を下げました。デンソー側の設計ミスで私が長時間労働で対応しているのに、裁判では、私の職務怠慢だと言っているのです。こんなことが許されるのでしょうか。
私が当時相談した時に、真剣に対処をしてくれていれば、私はうつ病にならなくて、こんな不利益も被らずに今現在も生き生きと働いていたと思います。健康な身体を返してほしいと思います。
トヨタ・デンソーでは、36協定の趣旨は無視し、少ない人員で対応するために恒常的に長時間労働を行わせてきました。本来は労使協定を結んでいる労働組合が長時間労働を防止する役割を担っていますが、使用者側の言いなりで締結されています。組合員の健康を守るべき労働組合の役目が全く果たされていない状況です。
デンソーでは、3か月以上休職している従業員が相当数おり、その中でうつ病などの精神疾患の人もたくさんいると聞いています。休職まで至らないまでも、その予備群はもっとたくさん存在すると思われます。また、メンタルヘルスの相談件数も多く、産業医の数も不足しているようです。
真面目に一生懸命に働いている社員が次々に過労やうつ病で倒れていき、休職や退職に追い込まれています。
私の体調が悪くなり、メンタル不全で、上司に業務上の配慮を求めていた時も、上司は、仕事を減らすこともせず、新しい仕事をあるだけ与えるという状況でした。会社側は私に対し、毎日のように早く帰るよう指示したと言っておりますが、それは嘘です。しかも、当時、裁量性の無いたくさんの仕事があり、仮に早く帰れといわれたとしても、到底早く帰れる状況になかったのです。それは同僚のY氏の証言からも明らかです。それで私のうつ病は増悪していきました。このような上司の態度では、職場の人間の健康が守られることはなく、管理職の姿勢に問題があると言わざるを得ません。
社内の問題点は、その中で実際に働いている社員が一番よくわかっていると思いますが、『自分が言ったところで何も変わらない』と諦めたり、『何らかの不利益を被る』ことを恐れ、目の前にある問題に目を背けることが多いのが現実です。しかし、私は内側にいる社員こそが、声を上げなければ何も変わらないと思い、裁判をおこしたのです。
過去の準備書面や口頭で申し上げてきたことが事実であることが前回の証人尋問で裁判官の皆様にはご理解頂けたと思います。私がうつ病になった原因がトヨタ、デンソーでの過酷な仕事であることは明らかです。
今後、仕事やパワハラでうつ病になる人がひとりでも少なくなるようにどうか公平な良い判決をお願いいたします。
以上
明日から2回に分けて、証人尋問の傍聴記を掲載します。
私もうつ病で休職中だったので傍聴することができました。
ディーゼル噴射技術部は本当に大変だと社内でも噂になっています。
でも、実際どうなっているのかは噂以外では聞くことができません。
最近思っているのは仕事の進め方と質です。転職して数ヶ月でうつ病になる人もいますし、仕事の進め方はこれで本当に正しいのでしょうか?