エカテリーナさん(左)と、横で遊ぶアナスタシアちゃん
ロシアがウクライナに侵略を始めてから24日で3年となった。日本に逃れてきた避難民は今年1月の時点で2747人に上り、今も1982人が身を寄せる。帰国か、日本にまだ残るか――。戦況の行方が見通せず、当面は日本にとどまる人も多い。
「娘が小学生になるときをウクライナで、夫とも迎えたかった」
福岡県田川市の市営住宅で、長女のアナスタシアちゃん(6)を見つめ、カテリーナ・チャプリンシカさん(33)はこぼした。
カテリーナさんは、夫と娘の3人で、首都キーウの西方にあるジトーミルで暮らしていた。2022年2月にロシアの侵略が始まると、総動員令で出国できない夫と翌3月に離れ、娘と2人で日本に避難した。
当時3歳だったアナスタシアちゃんは6歳となり、4月に小学校に入学する。母国の夫、両親とは毎週電話で連絡を取り合っており、成長を喜んでくれるという。
カテリーナさんは田川市の社会福祉法人が運営するイチゴ農園で働き、アナスタシアちゃんも併設の保育園に通う。アナスタシアちゃんは家でウクライナ語を話すが、保育園では日本語。今では日本語の方が上手に話せる。
「娘は人生の半分を日本で過ごし、溶け込んでいる」と複雑な表情のカテリーナさん。「母国で家族で暮らしたい。でも、今後数年でそれが実現するとは思えない」。目を潤ませながら訴えた。
「できるだけ長く日本に」44%
日本財団が避難民を対象に実施したアンケートによると、2022年の調査で「できるだけ長く日本に滞在したい」と回答した人は24・7%だったが、24年末には44・4%に増えた。「ウクライナの状況が落ち着くまではしばらく滞在したい」と答えた人も含めると、日本にとどまりたいと考えている避難民は7割を超えている。