花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

寒締めホウレンソウ

2022年01月05日 | 研究
フローラハンターズのある男子が研究しているのはホウレンソウ。
これは無加温の温室に放置されたもの。つまり「寒締め」栽培です。
ホウレンソウや小松菜はこのように寒さに当てると
グッと甘くなることがわかっています。
理由は糖度を上げて細胞が凍結するのを防ぐため。
自己防衛反応です。これを利用して考案されたのが寒締めホウレンソウ。
東北農業研究センターが20年ぐらい前に開発した
北国の寒さを利用するユニークな栽培法です。
ただ寒さのため、この苗のように成長が止まってしまいます。
彼はベビーリーフという幼い葉を食べるサラダ用商品をイメージしているので
これで問題ないのですが、大きな寒締めホウレンソウを作ろうとすると
寒さを当てる前に収穫できる大きさまで育てておく必要があります。
また1回収穫したらおしまい。収穫後に播種したって寒くて育たないからです。
このホウレンソウも極寒のため、しおれかけているうえ葉が真っ黒です。
低温ストレスでポリフェノールなどが合成されていると思われます。
このように栽培するには長短ありますが
甘く機能性成分も増える寒締めホウレンソウは人気で
この地域では少し高値ですが、スーパーマーケットにも並んでいます。
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露天風呂ホウレンソウ

2022年01月05日 | 研究
こちらのホウレンソウは寒締めホウレンソウよりは元気。
葉もピンと伸びており、美味しそうです。
これはトレジャーハンターズから引き継いだ露天風呂栽培。
20℃に温めた養液に根をつけて栽培しています。
根が暖かく、茎葉は寒い。露天風呂とはそんな状態からつけられた名称です。
見てわかる通り、寒締めホウレンソウより成長してきます。
したがって苗を露天風呂に入れると真冬でも栽培することができます。
嬉しいことに温室内は無加温。もちろんLEDで補光することもなく
自然環境そのままなので大幅に省エネとなります。
名農にはエアコンや照明がついて24時間快適な環境で栽培できる
植物工場のような植物培養室があります。
こちらはより快適に真冬でも栽培できますが
大量のエネルギーと二酸化炭素を排出しています。
彼が取り組んでいる研究は、その部屋と同規模で露天風呂栽培を行うと
電気料は当然安くなり、二酸化炭素排出量もざっくり計算しても5分の1以下。
新しい省エネ、温暖化対応の栽培法となるかもしれません。
しかし彼が一番知りたいのは寒締め栽培、植物工場栽培と比べて
糖度や機能性成分量にどのような違いが生まれるのか。
寒中水泳VS屋内プールVS露天風呂。
この不思議を知りたくて彼は冬休みですが本日出校。
収穫調査が行われ、検体はすぐに県の試験場に発送される予定です。
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