あも&サチアキの交換日記

どうやら交換日記が続いているようです(祝何年目?

岬の兄妹を見てきたので色々考えてた

2019-03-25 | from:sachiaki
昨日はTwitterで仲良くなったお姉さんと
『岬の兄妹』を見てきたsachiakiです。

お互い障害や福祉について気にしているタイプだからか
きっと見ながらクールに構えてしまうでしょうね〜
なんて言いながら映画館に入ったのですけれど……

見終わって、最初に出た言葉が
「え?これだけ??全然ゆるかったですね」
でした(ノ∀`)アチャー

身体に障害を持つ兄と
自閉症で発達障害を持つ妹が
生きるために選択することについて描かれているので
まぁ確かに重たいものはあります。

あ、ここからさりげなくネタバレになるので
これから映画見たいという人がいたら
今日の日記は読み飛ばしてくださいませ。



















さて。


ネタバレ感想です。

まぁトレーラーを見てる人でしたら想像つくものだったと思いますけれど
その障害を持つ二人が生きるために選んだものというのが
”売春”だったわけですわ。

まぁね、ぶっちゃけ”売春”に至るのは
そりゃそうだろうって思うし、
実際お客さへつけば手軽なお仕事ですよ。
古い漫画で恐縮だけど、「僕といっしょ/古谷実」でも
家出少年たちが生活のお金に困ってやったことも同じでしたからね。

携帯電話番号を記載しているだけの
汚い字で書いてあるヘボヘボなビラチラシ。
用紙を節約するためなのか、紙面に書くことが少ないからか
ポケットティッシュサイズのチラシをひたすら歩いてポスティングしていきます。

ほとんど胡散臭いを煮詰めただけのチラシだけど
それでも釣れる人たちがいるし、
釣れた人たちがあまりに普通なので
あぁ人間ってそんなもんなんだなぁっていうのがあるけれど
こんな話で胸糞悪くなるなら
貧困の果てに小学生の娘を売る母とかの方が罪深いし悲しい。

まぁ同じようなケースなのだろうけれど。

真面目に生きようとしても
足かせがあるばかりにうまくいかない兄、
その足かせとなる障害と妹を苦々しく思いながらも
できる限界で一所懸命生きている。
鉄工所でクビになってもポケットテッシュに広告を入れる内職で
1個1円というやりきれない仕事を頑張っている。

それでも家賃(バラックに住んでいるので、大したものではないだろうけれど…)はあるし、
電気なども払わなくてはならない。
けっきょく全てが払えなくなってゴミを漁ったりして生き延びようとするんだけど
ハタと気づいてしまうんですよね……。

ひどい自閉症で家を出るとなにするかわからない子だから
家に縄で閉じ込めていたはずの妹が何度目かの脱走で
釣り人に保護されていて、それと同時に性的な何かをされていたことを……。

ーみんな忘れがちだけど、人間って性への目覚めって驚くほど早いんですよ。

だからご多分にもれず妹も5本の指で年齢が数えられるような頃に
ブランコに股間を擦り付けているシーンがあって
その延長に成長しきった体を持つ妹がいるわけです。

子供の頃に目覚めているものが封印され続けているわけがないのです。
そうなるとさ、ある意味彼女にとっても「楽しいおしごと」であって
彼にとっては「生活の種」になるのです。
Win-Winなんですよね……。

その罪深さについてなどはまぁそれぞれ考えていけば良いと思うので
別にどうでも良いことなのですけれど、

とにもかくにもですよ。

あんな重度の自閉症を持っている子だったら
あきらかに保護対象だし、生活が困窮するようなことにはなりにくいはずなんですよ。
そしてそういった保護を受けるための書類を作ったりするのは
そこそこ難しいし、窓口につながりにくい環境の人もいるっちゃいるので
そういう環境要因があるのかな?と思ってみたら、
この映画の中で兄はお金を借りることもできるくらいの親しさで
巡査とつながっているわけなんですよね。
それなのに、その巡査はバラックで暮らして生活に困窮している友に対して
厄介な知人って程度の温度で接しているんですよね。
公僕マジメに仕事しろよ。

当然ビラなんてのもね、地元で配っているわけだから
巡査である友人にもバレてしまいますわ。
そしたらその巡査ヤツがめちゃくちゃ怒って家に押しかけて
「法を守れ、妹を守れ」って叫ぶんですわ。
それに対して兄が言う
「お前みたいなのを偽善者というんだ」
には首肯するしかなく、
本当にマジメに公僕仕事しろって思った。
そこで怒るのは大変間違っているし、
怒るよりも自分の無力さを呪いながら施設に連絡するなど
もっとできることあったろうと。。

まぁ妹もなんらかの施設に遊びにいっている感じがあったので
もしかしたら窓口までは繋がれたけれど
その後がうまくいかなかったのかもしれない。
でもそれだって公僕マジメに(ry

明らかに保護対象である人を微妙な背景で書いていただけでなく、
ヤクザとかも出てくるけれど、比較的やさしいし、
妊娠しちゃった妹の手術費に悩みまくっている最中に
ブロックを外から持ち出してきたのに
振り落とすこともなく、ちゃんと踏みとどまっているし、
比較的生ぬるい感じで全てが進んで行っていきました。

それでもこの映画から感じたことがあるとしたら
お母さんのお腹から早く出たいといって暴れまわっていたり、
出たくないと逃げ続けた胎児は殺されてしまうこともある。
そういう経緯や奇跡が色々と積み重なって
生まれ出てきたたった一つの貴重な命なのですよね。
(産みたくなかったという人もいるので、その辺の複雑さは割愛)

だから本当ならお天道様のもとを大手を振って歩いていけるのが
一番大切なことには違いないけれど、
いつかバレると震えながらでも生きていくしかない状況もあるわけで
生き汚いとののしられようと、どんな環境であろうとも
生きていかざるを得ないのよね。
ってことを感じて来ました。

これを『問題作』というのは簡単だけど、
問題作であるなら、もう少し窓口への繋がりにくさや
繋がった後も持続して保護してもらうことの難しさを描いて
その理不尽さに憤るようなものだったら
さらによかったなぁと思ったりしました。

テーマが障害と性と貧困とバラけてしまったのが
もったいなかったのかな?って感じです。

せっかくなので障害を持っていて、困窮していそうな人が身近にいましたら
こういう本もあるので読んでみて
うまく福祉の窓口に繋がれるように導いてあげてください。
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本/渡部 伸
あと関連本として『障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」

また、障害者が性欲など持っているわけないという幻想もいますぐ捨ててください。
彼らの性とも向き合わないと自分達が蹂躙するにしても何するにしても
厄介さには変わりがないからです。
人でなしでい続けるなら話は別ですけれど。

最近は障害を持っている人の性についても考えている団体さんもあるので
そちらと繋がってみるのも良いかもですね。
封じようとしたり、見ないでいようとすればするほど抑圧されて
よけいに爆発してしまい、施設で介護師が襲われたりするわけですから
キチンと向き合っていかないとなぁって思います。

そんな中でホワイトハンズさんは問題をそれなりに抱えながらも
頑張ってらっしゃるなぁと尊敬してしまうま。

なんだかんだ色々と考えるきっかけになったので
『岬の兄妹』良いですよ。
もう今月末で関東公開は終わってしまうようですけれど
お時間ある方はぜひご覧になってもらいたいです。

さてついつい熱く語ってしまったのでこの辺にて。
またね〜。モイモイ
コメント
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