閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

バランス

2009-06-20 11:08:13 | 日々
アジサイで有名な公園が市内にあり、
小高い山の斜面が、この時期は花で埋めつくされる。
人の背より高い大きな木に、大きな大きな花がたくさん、
これでもかこれでもかというくらい咲いている。
それはみごとで、最初は誰でも感嘆の声をあげるが、
どこまで行っても咲いているので、しだいに口数が少なくなる。

花を観賞するには、花と人とのバランスも大事だ。
人より花がずっと少なければ、安心して眺めていられる。
可憐な花をそっと見守る、という立場で、人は優位にいる。

これがバランス的に同じくらいだと、少し難しい。
バラ園やアジサイ園のように、観光目的で植えてある場所は特にそうだ。
自然ではありえないほど花の量が多く、密度も高すぎる。
こういう場所は家族づれやグループで訪れるのが正しい。
悩み事などある人がひとりでしんみり見るのはおすすめしない。
うっかりすると花に圧倒されてしまう。
だから、ふだんより高い声で笑ったり、しゃべったり、
はしゃいで写真を撮ったりしたほうが良い。
帰り際にふと振り向いたりしてはいけない。

バランスが完全に花のほうに傾いてしまうと、
『レベッカ』のマンダレイ屋敷になるのだろう。
アジサイというと、この小説を思い出すようになってしまった。
これでもかこれでもかと繰り返される花々の描写は、
過去にそこでおこった事件そのものよりもよほど怖い。
コメント
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