長らく品切れだった『アイヴォリー』が電子書籍になりました。
1月27日に配信開始されています。990円です。
ふつうのスマートフォンで見ると、こんな感じ。
***
これまでの経緯を、まとめて。
『アイヴォリー』は、1994年に理論社から児童書として出版されました。
品切れで重版の見込みがなくなったあと、2007年に、復刊ドットコム(当時の社名はブッキング)から復刊。
このときのハードカバー(一番上の画像右)は、小さくてきれいな宝物のような本で、わたしはとても気に入っていたのですが、これもまた数年で品切れ状態に…。
2014年、Amazonのオンデマンド本として、『星とトランペット』と『アイヴォリー』が共にペーパーバックで復活。ほっとしたのもつかのま、契約の行き違いか何かで『アイヴォリー』のほうだけ消えてしまい、そのままになっていたのでした。
その後、Amazonさんはオンデマンド出版から撤退し(『星とトランペット』など、すでにあるものは引き続き購入できます)、いまのところハードカバーの復刊も望めない、ということで、今回、復刊ドットコムさんで電子版にしていただきました。
内容は復刊版とまったく同じです。理論社版とも大きな違いはありません。坂田靖子さんのイラストも全部入っています。
『アイヴォリー』を書いたのは、黒ねこサンゴロウシリーズのすぐあとで、原稿用紙とペンからパソコンに移行する過渡期…いまや知る人も少なくなったワープロという機械を使っておりました。ワープロはいわば産業革命で、あれのおかげで書ける量が何倍にも増えたのです。読んでいると、カコカコというキーのタッチを、ほんのり懐かしく思い出します。
前にも何度か書いていますが、わたしはやっぱり紙の本が好き。ページをめくりながら、物語の中にぐぐっと深く入っていける感じが好き。
電子書籍は、均一に明るくてつるつるしていて、読むことは読めるけれど、どこかよそよそしく、落ち着かない。昔ながらの個人商店と、コンビニの違い、みたいなものかな。
たぶんこれは「慣れ」の問題でしょう。「本は紙でできているもの」という時代に生まれ育ち、こういうものを目にするようになって日が浅いので、なかなか違和感が抜けないのだと思います。
だから、とりあえずは「読める」ことが大事。どんなに素敵な本だって、読めなければ意味がない。
という割り切り方が、このごろやっとできるようになりました。
まあそういうわけなので、紙の本にこだわる方にはおすすめいたしませんが、ネット書店では「試し読み」でかなり長く(なんと2章の終わり近くまで!)読めますので、どんな話かなあと思われたら、この機会にのぞいてみてください。
Amazon Kindle
↓
***
ついでに。
昨年度の入試に『アイヴォリー』が使用されたということで、その問題集が送られてきました。
中学の国語かな、と思っていたら、某私立大学の人文学科の入試で、1章の一部分が引用され、この内容をふまえつつあなたの考えを書きなさいという「小論文」の課題になっていました。
わたしの時代には「小論文」てものはなかったので(大学によってはあったのかな?)、何をどう書けばいいのか見当もつかないですが、こういうの、採点するほうも難しいでしょうね。