Yunomi論考

　ここにアーティストYunomiの魅力を語る。
　彼の紡ぎ出す音楽は、電子音によってのみ構成され、緻密であるにもかかわらず、人情の機微を思い起こさせかつロマンティックな心の揺らぎを表現することに成功している。それを実現させるのに一役買っているのが、特徴的な音によって紡ぎ出されるリフである。その音は、楽曲によって異なっているため、どのような音と一概には説明できないが、いずれも心の琴線に触れる繊細な感性によって選ばれた音という感じで、耳にすると「ヤラレタ！」という心地よいKO気分にさせられるのである。
　また、彼の音楽はカワイイ系という現在日本で正義とも呼べる地位を確立しているジャンルとも結合していて無敵状態であると言える。
　彼の音楽から一見受けるそのカワイイ系の表の顔の印象とは別に、その裏には物凄くのたうち回るほどの狂気と呼べるカオスが渦巻いている。その表出がかの特徴的なリフによって実現されているのだ。
　彼のリフから感じるのは、ワクワクする出来事に触れているかのようなこの上ない幸福感だ。だからこそ、彼の音楽を素直に聞きたいと思うのだ。
　現代という、一見無用なものによっても満ちた物質社会のなかで、その物質らによって一旦は踊らされるも、その後の精神的葛藤を経ての意志ある選択から得られる悦びを音楽によって表現しているのが、他ならぬYunomiというアーティストなのである。