水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

春は遠くへ霞みけり

2015年09月14日 18時01分36秒 | 詩編
 たしかに  あの松の枝を揺らしたのは  あの日の春の風     かすかに  あの梔子に残っていたのは  かつて青かった頃の春の匂い  とうに過ぎ去った春は  視界の向こう側で霞み    咲き誇る麗しき花々は  神々しい暑熱を被り笑む  軽やかに陽光に踊るのは  僕の幼さを匿う他愛ない心  捨て切れない昔日の後悔と  特徴なき有り触れた感情が  この胸の奥を今でも占める   風に揺れる   . . . 本文を読む

氷の演舞

2015年09月14日 17時48分31秒 | 詩編
 氷が燃えている  貴女の目のなかの  湖の上一面で  どうしても避けられない  一抹の誤解を消し去るように    僕の  意識は  零度以下に冷めた  鮫の思考を  丁寧に模倣した    一寸も先の見えない夜のなかで  草臥れた白Tシャツと対峙して  徐ろに相槌を打った    一瞬  時が止まったような気がして  軽く顔を上げたが  何のことはない  僕は僕のままだった  変わりもしない睡眠と . . . 本文を読む

詩人の行く末

2015年09月13日 11時44分31秒 | 詩編
 境界線から放たれる  鋭い悪魔の  感情の弾丸は  僕の心臓を  射抜く  さっき通過した  パン屋の前で  野垂れ死ぬ  おんなの芳香が  街路をさ迷う  濡れ衣を  着せられた  老婆の呻きが  天の国まで  昇っていく . . . 本文を読む

逃げ腰のワルツ

2015年09月13日 11時43分50秒 | 詩編
 僕は  いつの間にか  弱い人間であると  思い込まされた  それは ときとして 「正しい」    秋が訪れる頃  僕は「孤独」に苛まれ  泣いていた  何も変わらない!  と、自暴自棄になって  しかし  立ち上がるんだ  屍と化してしまう前に  甦れ . . . 本文を読む

絶望の向こうに

2015年09月13日 11時43分25秒 | 詩編
 形にならぬ青さと  惰性で生きることへの恐怖が  深夜に想起される  多分  僕はまだなにも成し遂げていない  何度積み上げても  幾度となく積み上げても  永遠に完成しない  そんな絶望を感じるとき  そして倦怠を感じるとき  ふとやってくる朝がある  それは陽の光を連れて  僕の顔を暖めに  やってくる . . . 本文を読む