朝、吹き出したミルクが
4秒半の間 宙に漂う
クロックムッシュのホワイトソースが
パンの中から滲み出てくる
世界が
祝福の拍手を打ち鳴らそう
と その手を目いっぱいに広げる
旅から
帰った番頭は
しみったれたジョークを
口にしながら
「愛は、どこ?」と、怪訝な顔をして、問う。(、なぜ…)
谷の中で鳴くうぐいすは、
嬉しそうに微笑んだ。… . . . 本文を読む
寂れた、砂漠に
風が吹く
その真ん中で
ぬるい
コーヒーを
飲むだけ
そして
ひたすら
空に輝く太陽を
手のひらで隠して
眠るだけ
総じて
旅の途中の
整理整頓は
面倒だ
砂漠の
真ん中に取り残された
ような
落ちぶれた
生活
どんな
解決もない
非開放な
生活 . . . 本文を読む
寒空の下
ひとり
男が
満月に照らされて
そろそろ
歩く
その瞳は閉じたまま
夜の闇を凝視している
その男の目が
開くとき
闇がまた別の闇を生む
寂寥が
胸の全てを占め
男は
低い声で呻く
その音は
国道の上を
馬のように
駆け抜けていく
それが
冬の最期を飾るものだった . . . 本文を読む
積み木のように重ねておいた悩みを
誰かに告白するように
海の中 ひっそりと貝を手に取った
探し回っていたけれど
ようやく見つけたよ
寒い日には
雪に降られ
暑い日には
ぜえぜえと汗を流して働き
飢えた
子供には
おにぎりを分けてやり
暗闇に押し込められていた
孤独は
今、宝箱を開けるように
その鍵を開けられて
再び愛として
この世に降り注ぐよ
なんでもない
愛の唄 . . . 本文を読む