ここに愚劣極まれり
何とも思わず通り過ぎる不感症の際限ない愚かさよ
繊細な在り方の成れの果ては
この世を憂う隠れた紳士
その不感症と
その繊細症とを
取り結ぶ我を思う
私は傍観者になりたくない
傍観者とは実は最も狡い、暴漢者ではないのかと。
理解されない真っ直ぐさと
理解されやすい安直さと
その雲泥の差をなくしていくのが
私に課された仕事だと。 . . . 本文を読む
今は
今は
海岸を走るさざ波のような想い
恋い焦がれ
走るフリーウェイ
夕焼けはいつの間にか
前髪を照らした
路面を撫でながら走る風の手が
君を静かに喘がせる
君の眉毛を写したような
緩やかなカーブの海岸沿いをなぞる未舗装の道
肌を撫でるベッドの上の僕の指先が
君の真っ白な肌を走る中型の自動車
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僕ら 見つめ合った
ふたつのガラス窓越しに
外は 雪が 降っていた
止まらぬ 夏の追い上げに
冬は 困り顔をしていた
このエリアは
冬も 夏も 混ざり合うようにできている
僕の意識の在りようを
真似ているようだ
砂を噛むように
耳に入ってきた
君のヒソヒソ呟く声も
宇宙の彼方で
煙みたく消えた
広げていたね
宇宙の暗さを . . . 本文を読む
想定外なもののために必要なのは、物理的な壁より、意識の持ちようではないだろうか? 正直、僕はあまり海は好きではない。好き、というより「畏怖」を以って接するものである。なんだろ、あまりにも強大過ぎて、僕人間一人では太刀打ちできないものなんだという恐怖の方が大きい。僕は、ふるさとは大切にしたいと思うが、まだ東京に出てきてまだ時間が経っていないせいか、あまりふるさとのありがたみを感じていない気がする。 . . . 本文を読む
関東大震災≒カント大天才
今、津波のように押し寄せる言葉の襲来に筆者の足は震え、手はおののき、頭蓋は揺れている。われわれにとって震災を語ることとは、一体どういうことなのか? それについて語ろうとする度、何度も上に書いたように津波のようなものが筆者の脳内に押し寄せるのが分かる。しかしながら筆者は、かの震災における被災者であると同時に、もしかすると被災者ではないという意識に捕われることもある . . . 本文を読む
ラジオ という媒体の自由さ。それぞれの好みに、寄り添うように流れる番組。霊的なもの、それは電波。脳波を読み取るのも不可能ではない世の中になってきた。ラジオ番組を、やっている。よっちの詩を紹介。私たちは、生者だが、死者の側のラジオがこの小説の主題となっている。生者も、死者もラジオが大好き。ちょっとしたレトロ感が、ラジオには感じられる。テレビに較べて、安心感を覚える。束縛が少ない。自由度が高まる。音 . . . 本文を読む
序文 震災を超えて~『想像ラジオ』が提示した震災後の精神世界~
震災を乗り越える叡智を創造するという文学の挑戦
震災と文学の関連性を巡る一考察~特に東日本大震災と『想像ラジオ』を主たる題材として~
震災に遭遇し、われわれはいったいその未曾有の大災害から何を学んだというのだろうか? そもそも先だっての震災は、いったい何のためにわれわれを襲ったというのか? ともすると「文学」という . . . 本文を読む