浮かばれぬIの求愛に
素知らぬフリのUが振り返り
波間にその姿を晦ます思惟が
寝ぼけ眼で地獄の狼藉を告発して
世界の鋭く尖った理性を
ポッキポキリと折って回り
回りくどい嘘の連続を
何度も乗り越えて
後方で居られるandを
策略と差し替えて
ルイ14世の枕元で
情熱の憎悪を垂らして
有言実行の朝を差し出す . . . 本文を読む
暗闇が
背中に触れても
治らない
痛みを抱えている
一緒に
泣いてくれる?
線香花火が
落ちるまでの間に
世界が
僕の両手
さらには両足を
縛って
この言葉を
紡がせようとするように
こんな戯言が
誰のもとへと
届くかなんて
知ったこっちゃない、と
愚痴ることしかできない
夜の一刻 . . . 本文を読む
一歩、いっぽ、探しつづけて歩いては、意味の蒙昧な空想の部屋で独り遊ぶ。空気を胸一杯に吸い込んで、弛んだ日常の醜悪な下腹部にくどくどと愚痴をぶつける、僕は兵隊。日々のくたびれた妄想、その他ありふれた煩悩に嫌気が差して、空中で分解をしていく僕の昼間の想像に、奪いたての真っ白な羽を取り付けては、さんざめく明日の約束に腹を立て、隊列を成して行くものたちへの乾いたエールを、僕は既に夜に置き忘れて嘆いては、 . . . 本文を読む
細密な記憶を辿った
今宵の僕は
ただ溶けるほどの
甘い蜜を
貪る
怠惰な羊
風を受けて
戦慄く僕らは
きっと
春にも咲かないサクラみたいに
不条理を叫ぶ獣
楽な人生など
なかったと
でも
これはこれで
満足のいくものだったと
いつか
言えるもんだろうか?
夜が明けるとき
僕は何気なく欠伸をし
手を伸ばし
僕を包み込む大気に
天地創造の端緒を観る . . . 本文を読む
僕には
それが世界の祝福そのものの様に
心のなかでコダマする
「ただいま」
そのわれわれを安心させる
優しい、温かい言葉。
僕には
君の「ただいま」が必要なんだ
唯、今を生き抜くために
僕ら分裂した意識を接ぎ直すかの様に
. . . 本文を読む
「暇」とは最大の敵だ。
僕らは、それの前では「死人」のように
生命力を失い、黙り込んでしまうばかりだろう。
僕らは「暇」なんてのを、手に入れたから
「苦悩」するのかも知れない。
噫!「暇」はなんで、僕らに与えられたんだろう?
それだから人は「堕落」するんだ!
「知恵の実」を食べた僕らへの「罰」か?
「苦悩」することのできる「知恵」を、
僕らは手に入れた、とでも言えるのだろうか . . . 本文を読む
ブラウンシュガーを撒き散らしたような
僕の妄想に塗れた茶色い部屋の中で
忘却された日々の鬱屈が
とぐろを巻いて雑然と居座っている
バカみたいな妄想に取り憑かれた
僕の所行は
夕方のくだらない審判によって
裁かれる運命だ
君の瞳に沈んでいく夕陽は
僕らの薄汚い妄想を拭いさっていく様に
不満でいっぱいの僕の日常を
ひたすら真摯に照らし続けているから
僕は間違いの街を駆 . . . 本文を読む
青を飲み干し
宇宙の空き箱に
身をひそめ
ゆうらんひこうを
楽しめば
とめどなき
降雨に
身を濡らし
何気なく
睡眠の湖のうちを
彷徨っては
やおら目を見開いて
訪れる歓喜の渦に
目がくらむ
機を逸しては
ならぬイチゴの
滴る果汁に
徐ろに舌を伸ばし
揺れる不安に
手を合わせ
閉じる闇を
薙ぎ払う
. . . 本文を読む
揺ら揺ら揺れる、あの日の木陰、
何食うわけでなく、離散する理想。
ところによりて、嘆く意想の届く先を知る。
計算を徹底して夜にはめ込む、君のムゲンの思考方式に、
カタルシスの到来を待ち呆ける、僕のムゲンの期待意識に、
穂花に嘘が萌えるのが、分かる。
頼りない妄想の残り香が、僕らの未来を塗り潰そうとも、
何度も蘇るタマシイが、その歯車を再度噛み合わせる。
. . . 本文を読む
何かが拓くのを
何も知らずに
何も思わずに
目でもって音を聴く
叫び声のような
亡霊の訴えに
僕は今とばかりに
耳でもってその正体を見ようとする
正義は
何を根源として有るのだろうか?
僕の六腑に染み渡る正義の味は
いったい誰が好むというんだろう……? . . . 本文を読む
真実からは遠く離れた惑星で
困惑しながら
当惑しながら
惑う君
夢見心地の大陸で
夢想しながら
幻夢を見ながら
夢幻を追う皇子
遠くの海は
終夜
消えゆく前の
ささやかな儀式を
執り行っては眠るでしょう . . . 本文を読む
終末の影の樹上に立って
浅はかな知恵の実を
じゃりっと噛んだ
五月雨に匿われた
千年前の聖者の呪怨を
聞き逃すな
時を切断して
無分別に接合しても
何も変わらぬ
頑是無い水の戯れに
夕べの果て無き戦いの痕を見た . . . 本文を読む
静かに閉じてゆく今日が、漆黒の沈黙に吸い込まれていく
茶褐色の川辺を
混濁した意識なんてやつを、ポッタポッタと、地面に落としつつ
適当にふらつく、黄昏アワー真っ只中……
すべてを
失った僕の意識の中では
牛が唸るように、涎を垂らしながら
誰もが俯いては明々と廣がる空を見上げるような、秋を演出する。 . . . 本文を読む