僕のこれまでの人生は
ひどくくだらないほどに
幸福だった 完全主義に彩られ
滑舌は万事好調で
いい感じに謙虚で
かつ誇り高くて ね
すべて正しい言葉を紡いで
かつ冗談じゃない妄言放って
英雄らしく 気違いじみて まともで……
僕の後に けして僕のような人間は出てこないだろう . . . 本文を読む
僕らは
ビクビクしながら
都会の人混みを
抜けていく
夜の街を歩く人々は
皆聖者たち
僕が
狂いそうになるところを
観察している
水が
僕に
何かしら囁くが
それは意味と無意味の間の
「意味ありげ」
という概念から抜け出せない . . . 本文を読む
そこにある
空隙の狂騒
青が暴走し始め
爽やかな騒ぎが胸を占めれば
見つめることから
始まる妄想の一幕を
真夏の浜辺で切断すれば
その代わりにツナガル
真っ青なあおとアオの欲望同士の
協奏を聞く
固定された真実と
遊動する秘密との邂逅が
僕らの桃色の時代を
優雅に象れば
世界がいつ終わっても構わない!
. . . 本文を読む
都会の過剰と
地方の不足の
せめぎ合いが
色めく世界を
創りあげる
東京の
ありあまる財と
田舎の
インフラ不足と
世界を
形作る数多の相反するモノ同士の
引っ張り合いが
無限のイベントを生み出し
人類のドラマを創出する
. . . 本文を読む
人は
ひとところに留まって
同じ音楽を奏で続けられるほどタフじゃない
人は
ひとところに鎮座しているように見えて
違うところを飛び回っているものだ
世界が忘れ去られるそのときまで
飛ぶことをやめない君の夢想は
世界のあらゆるところを弄ってやまない . . . 本文を読む
危ない夏
光
空撃の一波
拠り所のない
願望の
震える指先
何もない
心のうちを
察する君の勇気
危ないだけではない
一夏の過失を
夢の折り紙のうちに折り込んで
何気ない明日の来訪を
見守るように
今日も夕焼け熟れ落ちる
ひたすら危ない夏の気配が
君の背中を狙っている
時が接合する
あの日と今日の記憶を
何度も思い出す甘い夏の日 . . . 本文を読む
月は
ふんわりと
まるく
夜の海に
浮かんでた
2月も
あっけなく
過ぎ去って
無意識の湖へ
溺れて消え去っていく運命といえども
外はまだまだ
何とも厳しい寒さです
「いずれ、花咲く春が来る・・・・・・。」
と 告げる貴女は
雪のよう
僕は
軽くくしゃみをして
もう一度天高く
吊るされている月を
見上げるんだ
ぽっかりと自意識を忘れ去ったように . . . 本文を読む
恐ろしい
波打つ
湖畔の記憶
眠りから
覚めても
まだ確かに
この記憶は鮮明だ
遠く
あの雲の向こう
雷が鳴っている
僕は耳を澄ました
不意に
あの雷が
頭上に突き刺さってきた
全てが
解けた
何億もの記憶が
意識の上に
立ち昇ってきた
終に
「何か」を分かったのだ
それは
終わることのない物語
受け継がれていく知恵
にもかかわらず . . . 本文を読む
答え。なんてあるようで、ないもの。誰かに期待されているだけ。僕らは、自分なりの答を見つけることができる。それでいて、風のように移ろうもの。桜のように、どんな確かな答えも散っていく。地元の桜は、今が見頃とのこと。どうかささやかな喜びを、感じられるように。
(これを書いたのは、もちろん春です) . . . 本文を読む
しかしながら、戦力を持つということによって、他ならぬ人間を傷つけるのは、果たして許されることなんでしょうか? 自国の人だ、他国の人だ、と分けるのは、人間が敢えて分けた存在に過ぎないとも思うのですが。人間が、今のところ近くにいる人たちのほうが安全だから、一定の場所に線を引くという行為をしているだけのような気がします。そして、それは過程であると。と、いっても、僕も果たして、じゃあ完璧な平和なんかが訪 . . . 本文を読む
なんにも、解決しないけど。なんにもないより、マシだ。でも、なんにもないこの夜だって、なんにもないわけじゃないんだろう。呼吸もしている。視力を使っている。タイピングしている。
最初に解決しないって言ったけど、なんにも問題なんてないんだから、何にも解決するようなことはないんだろう。でも、何にもないと、何かを生み出してしまう人間だから、つい苦しみも作ってしまう、それは、仕様がないんだろう。でも、きっと、 . . . 本文を読む
僕は
きっとどっかおかしいんだ
そんな自覚を持ったりしてる
君から見て
僕は変かい?
頭が狂ってみたりすることも
よくあることじゃないか?
僕は
神様に
こうなるように
取り計らってもらっていたんだ
今
月が見える
あの光は
どこまでも
怪しい
それでいて
優しい
涙が出てくるよ
ホント
狂ってしまって
僕は
自分が誰だか
とんと見当がつ . . . 本文を読む
ビルから落ちてゆく幻想が
幾千回も震えて
三千世界の意味を携えて
一気に青を縦割って
叫び声を上げながら
地面への距離を縮めていく
溶け落ちてしまうその声が
僕の心を何千回も撃ち抜いて
意味もなく涙を流すきっかけを
僕に提供する
死とは
つまり
何かを
更新することだと
雲になれない
君は云う . . . 本文を読む
たった独りで部屋にこもり
午前一時の闇の中で
ピスタチオを砕く夜の静寂
恐れ多き神の眼前で
いつまでも蠢く
僕の寄る辺なき畏怖たちよ
そこで産まれる
観客総立ちの舞台裏で
意味もなく吠える犬たちの
悩みに応える
冷たく立ち並ぶビルたちよ
時を選ばずして
いつもはぐらかしてばかりの
整然と立ち並ぶ椅子たちよ
忽然と焼きあがるピスタチオの
美のイルミナシオン . . . 本文を読む