水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

月ビル

2017年03月09日 17時44分18秒 | 詩編

 ビルは
 青い竹のように
 笑って生え

 人々を抱き止めて
 透明に映え

 偶さか硝子の頬を
 涙が伝い

 理解と
 ツキハナスことの狭間で
 それぞれに
 互いの距離を
 確かめ合っているみたい

 時折
 高すぎるがゆえに
 標的にもなりやすく
 真ん中から折られて
 崩れる事態にもなって

 一方で
 平和な都心では
 意味もなく
 西日を
 照り返したりもして

 間違った推理を
 誘発させたり

 無遠慮に
 人々の眼を
 眩ませたりもする

 そんな彼らも
 月を匿うときがある

 お月様は
 地上の人間と
 会話するのが
 ご趣味なようで

 ただ
 たまに話し疲れると
 ビルの陰へと 
 退散してしまう

 月とビルは
 共謀している

 あいつは話すに価するか
 それともしないか
 値踏みしているんだ

 彼らの陰に隠れた月は
 僕らのもとに届かないほど小さな声で
 独り言を呟いているんだな

 ピョンピョンだピョン!
 餅つき、望月、見えてますか?
 私は羞恥の心で身悶えしています

 みたいなことを…

 僕は聞いたことがないから
 分からない

 あの月は
 言いたいことのほとんどを
 地上の他者をして言わしめているから
 彼女の言は
 直接僕に届かないみたい 

 さあ今宵も
 彼らの陰から彼女が
 ぬっと顔を出す

 あられもない
   事態を引き寄せて…

 Some insanes
 Fall out from her,
 Her pale face sweetly.

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