水面を破壊せよ、上へ昇って

勢いよく水面を破壊する気概で、海面に湧く言葉たちであれ。

ミルククラウンの影

2014年11月24日 16時32分20秒 | 詩編

 円卓の上で
 今
 真白の液体が
 垂れ落ちようとしている
 夕暮れの悲哀を震わすように

 現の群れに
 独り善がりな思想を
 染み渡らせて
 遠い過去の遺物に
 手榴弾を投げつける
 それですべてが
 解決するはずだった

 だが現実は
 そう甘くはなかった
 ヒカリの透けるシルクのレースが
 まるで僕の欲望を
 宇宙の暗黒の中で
 優しく包んで匿うかのように
 太陽風に靡いては
 秘かに押し黙った

 今
 僕の目の前の
 テーブルの上で
 たった30cm程の高さから
 落下していく
 真白の欲望が
 今日に限っては
 昼の明るさの名残りを見せながら
 まるで時を延長させるかのように
 スピードを遅めて落ちるばかりだ
 
 それは
 何でもない
 何の衒いもない
 夕方の部屋の光景だ

 僕は
 その真白な有機体が
 一杯のグラスの中へ向かって
 落下していくのを凝っと視ている
 嗚!
 何の変哲もない日々よ!
 今、私に、奇跡を、目の当たりにさせて欲しい!

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