チエちゃんの昭和めもりーず

 昭和40年代 少女だったあの頃の物語
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第134話 てんばたと紙ふうせん

2008年01月20日 | チエちゃん
 昭和40年代のあの頃、毎年小正月の頃に、の何処かのお宅から、
今年はうぢの○○の年直しだがら、飛ばしてくなんしょ
と言って、てんばたと紙ふうせんが届いたものでした。

「年直し」というのは、厄年払いのことで、「厄を飛ばす」という意味で、子供のいる親戚や近隣の家にてんばたと紙ふうせんを配るのが慣わしでした。
「てんばた」というのは、凧のことです。

 昭和30年代には、小正月の夜に子供達が「だんご食いで、こっこ」と言いながら、各家庭を回り、お菓子をもらって歩く、「こっこどり」の風習がありました。その時、厄年の人のいる家庭では、てんばたと紙ふうせんをあげたのです。
チエちゃんが小学生の頃には、この行事は廃れてしまい、てんばたと紙ふうせんを配る習慣だけが残ったのでしょう。

 てんばたが届くと、早速、おじいちゃんが新聞紙を細長く切って、凧にしっぽをつけ、タコ糸も結んでくれます。
それを持ったチエちゃんとたかひろ君は、裏山の畑へ凧揚げに向かうのでした。
たかひろ君に凧を持たせ、糸を5~6m程のばし、準備ができたところで、凧を高く上げて、手を離せと命令します。
一旦は上手く風に乗ったかのように見える凧は、すぐに勢いを失って地上に落下してしまいます。何度やっても、おじいちゃんやお父さんがやって見せてくれるように、うまく凧揚げが出来た例はありませんでした。
それでも、懲りずによくも毎年、裏山へと行ったものだと思い出だします。

 一方、紙ふうせんは、家の中で遊びます。
息を吹き入れて膨らまし、手で叩いて飛ばしっこをするのです。
バレーボールのように、紙ふうせんが床に落ちないように、拾っては相手に飛ばすのです。相手が拾えないように、アタックよろしく力いっぱい叩いてしまうと、パンッと音がして、紙ふうせんは簡単に破れてしまいます。
もう少し、丁寧に扱うのだったと後悔しても、後の祭り、ふうせん遊びは終了となるのでした。

 最近では、和凧も紙風船も見かけなくなり、凧を揚げる子供たちの姿も、全く見かけません。
「年直し」の風習は続いていますが、凧と紙風船の代わりに、厄を落とすということで、食器用洗剤が使われているようです。