ヒロシを病院へ送り出した私は、調理ができなくなった母のためにお惣菜を買い込み実家へと向かった。
投票を午前中に済ませようと、杖を頼りに歩く母と坂道を下りようとしたとき、私の携帯電話がなった。いつもはマナーモードにしているので気づかないことが多いが、その時はなぜか通常モードにしていた。
画面を確認すると、知らない番号からだった。でも、この市内番号は街中だ(病院は福島市の街中にある)。
不審に思いながらも、出てみる。
「ヒロシさんの奥様ですか? こちら、OS病院透析室です。ヒロシさんの意識がありません。今すぐ、病院に来てください。」
「はい、分かりました。でも、私、今、自宅じゃないんです。」
「どれくらいかかりますか?」
「30分から40分はかかると思うんですけど・・・」
「それでは、息子さんとかに来ていただけませんか? いずれにしろ、この先入院することになりますから」
ああ、それでは息子より私の方がよいと思った。
「はい、分かりました。これから、私が向かいます。」
車を運転する私は不思議と急くことはなかった。
それは、一年前、心肺停止状態から、戻ってこれたからだった。
今度だって、きっと大丈夫。
病院に到着したのは、11時45分頃だったろうか?
透析室に入って、ヒロシの名前を告げると、
「ああ、ヒロシさんの奥様ですね。今、ヒロシさんは意識不明の状態です。
急いで、ICUに行きましょう。」と、看護師さんに手を引かれた。
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