「一度、五能線に乗ってみたい」との思いが、ようやく実現した。東北を訪れるたびに、今度こそと意気込みながら出来なかったのは、極めて不便な支線だからだ。この不便さがたまらない魅力でもあった。ところが、クルージング・トレイン”リゾートしらかみ”なるアイディアが、従来のイメージを一新した。
写真は、動く車内から撮ったもので見難いが、岩木山の山容の変化がお分かりになるだろう。青森県のシンボリックな存在の岩木山を取巻くように、五能線は走る。
さて、”リゾートしらかみ”とは、随分ハイカラなネーミングだが、何のことはない。全国にあるローカルの快速列車だ。ところが、全席指定で、編成は3両仕立て。1号車と3号車には展望ラウンジを設け、2号車はボックス席。ボックス席は、テーブルを挟んだ4人がけだが、ゆったりしていて背もたれをスライドさせると座席はフラットになる。
ユニークさは、車両のつくりだけではなく、ソフト面でも見られる。運転日・区間・時刻及び編成によるが、津軽三味線の生演奏や津軽弁「語り部」の実演サービスまである。
更に、”リゾートしらかみ4号”(秋田行き)限定だが、川部から鯵ヶ沢までの間に、車内備付けの用紙に記入して車掌に渡すと、「晩酌セット」の予約が出来る。あきた白神駅を発車後(17:26)、車内販売員が席まで届けてくれ、料金を支払う(1000円)システムだ。終着秋田到着が18:59だから、日本海に沈む夕日を観賞しながら地元食材たっぷりの肴と地酒を味わえば、旅情ここに極まれりだ。