全世界を揺るがす金融不況にも、”時悠人”は無縁な生活を送ると自負していたが、「世の中一寸先は闇」とはよく言ったものだ。それは、昨日の朝、かかってきた一本の電話で始まった。
次女が結婚する時、新郎がリストラの危機に見舞われないかと心配したが、何とか首が繋がり安堵したのが、昨年暮れ。クライストチャーチで家を購入しようと、1月に入り、バンク・ブローカー(日本の司法書士に該当)に銀行融資等の交渉を依頼した。二人の所得や資産状況をもとに試算した結果も分かり、オープン・ハウスの下見を重ねたが、好物件が見つからなかった。
世界で円が一人勝ちの状況下、日本人の投資家がNZL不動産に着目し始めたために、取引物件が減り、沈静化していた家の価格が上昇に転じてしまったのだ。そんな矢先、夫君がリストラの対象になってしまい、家の購入どころではなくなったというのだ。サラリーマンの給料は、月給制ではなく週給制だし、家賃も週単位の国だ。新婚早々、家さがしから職探しに奔走することになってしまった。
バレンタイン・ディーに女性がチョコレートを贈り、男性に愛を告白するなんて愚行は、日本だけだが、笑うに笑えぬバレンタインになったようだ。遠く離れてサポートすることも出来ず、ただただ気をもんでいる。