4月6日コロ子が購読している東京新聞に興味深い記事が掲載されて
いました。ドイツが国外に保管している金の回収に動いている
というのです。
いました。ドイツが国外に保管している金の回収に動いている
というのです。
気になる記事だったので、ネットで調べると、昨年11月7日に毎日
新聞の潮田道夫さんも「ドイツの金は無事か」と書いておられ
ました。
新聞の潮田道夫さんも「ドイツの金は無事か」と書いておられ
ました。

独、金674トン回収へ 東京新聞 4月6日朝刊
【ベルリン=宮本隆彦】世界で二番目に多くの金地金を保有する
ドイツが、米国とフランスに預けてある現物の金の回収に動いて
いる。二〇二〇年までに時価で3兆2千億円余りに相当する
計六百七十四トンをドイツに移す。
ドイツが、米国とフランスに預けてある現物の金の回収に動いて
いる。二〇二〇年までに時価で3兆2千億円余りに相当する
計六百七十四トンをドイツに移す。
背景には、欧州債務危機でユーロの信認が揺らぐ中、価値が安定
している金をできるだけ多く手元に置いておきたい思惑がある
ようだ。
している金をできるだけ多く手元に置いておきたい思惑がある
ようだ。
ドイツ連銀の計画などによると、ドイツの公的な金保有は三千三百
九十一トンあり、八千百三十三トンで最多の米国に次ぐ。このうち
国内保管は千三十六トンで、残りは米国、英国、フランスの中央銀行
に預けてある。
九十一トンあり、八千百三十三トンで最多の米国に次ぐ。このうち
国内保管は千三十六トンで、残りは米国、英国、フランスの中央銀行
に預けてある。
これは米ソ冷戦の最前線だった旧西ドイツが、有事の際に侵攻して
きた旧ソ連軍に金を奪われる事態を恐れ、保有する金の大半を国外に
預けていたためだ。しかし冷戦の終結で「国外避難」の必要はなく
なった。近年の債務危機でユーロの信認が揺らぐ中、有事に強い金の
現物を国内に置いておきたいとの計算も働く。
きた旧ソ連軍に金を奪われる事態を恐れ、保有する金の大半を国外に
預けていたためだ。しかし冷戦の終結で「国外避難」の必要はなく
なった。近年の債務危機でユーロの信認が揺らぐ中、有事に強い金の
現物を国内に置いておきたいとの計算も働く。
金を預かる米国の秘密主義も回収に踏み切らせた一因だ。保管する
ニューヨーク連銀は、自国の金の保管状況を確認しようとするドイツ
連銀の要請すら十分に認めないという。このためドイツの会計検査院
は昨秋、「国外に保管する金の存在が確認ができていない」と指摘
していた。
ニューヨーク連銀は、自国の金の保管状況を確認しようとするドイツ
連銀の要請すら十分に認めないという。このためドイツの会計検査院
は昨秋、「国外に保管する金の存在が確認ができていない」と指摘
していた。
計画通りに回収が進めば、国内での金の保管比率は現在の31%から
50%に高まる。金はフランクフルトのドイツ連銀で保管する。
50%に高まる。金はフランクフルトのドイツ連銀で保管する。
日本の公的な金保有は世界九位のトン。保有する日本銀行は保管先
を公表していないが、大半は米国にあると見られる。
を公表していないが、大半は米国にあると見られる。
ドイツの金は無事か=潮田道夫 毎日新聞 2012年11月07日 東京朝刊
<sui−setsu>
ドイツという国はなにごとについてもきちんとするのが国民性であるが、
ドイツ連邦会計検査院の今度の要求には感心させられた。
ドイツは冷戦期に、旧ソ連の侵攻にそなえて、保有する金を米国、英国、
フランスに分散保管してもらった。その保管状況について定期的に検査
すべきだというのである。何でもない要求のように聞こえるが、非常に
重大な疑念の表明である。
「彼らはまさか、ドイツの金を売り払ったり、鉛をまぜて変造し
純金分をかすめとったりしていないだろうね」。そう言外に言っている。
ドイツは3996トンの金を保有する。米国に次いで世界2位。このうち
1536トンを米国に、450トンを英国に、374トンをフランスに預けて
いると言われる。
確かにニューヨーク連銀の秘密主義は徹底していて、ドイツ連銀の
担当官が金をチェックに行っても十分には見せてくれないようだ。
自分の金なのになぜチェックできないのだ、という検査院の不満、
懸念はもっともである。
ドイツ連銀は各中央銀行からは毎年、金は適正に保管されている旨の
報告があり、それで十分だと主張していた。中銀同士が相手を信用
しなくなったら、資本主義は終わりじゃないか、と。
しかし、ドイツ政界で問題視され圧力が強まった。海外の金を全部
本国に取り戻せ、という政治運動も活発化している。英国がゴードン・
ブラウン蔵相のとき、財政難で400トンもの保有金を売却し正気を
疑われたが、それも尾を引いているようだ。
こうした声を無視できなくなり、結局今後3年間、毎年50トンの
金塊をニューヨーク連銀からドイツ連銀に移送することになった。
溶解して品位の検査もするらしい。
この騒動の背景にあるのは欧州の共通通貨ユーロの危機である。
「ユーロ崩壊」がないとはいえない現状である。頼りになるのは金。
ドイツ人が大事な金を外国より自国に置いておきたいのは当然だ。
それだけに、仮にドイツが海外の金の全量引き揚げに動いたら、
ユーロ崩壊が現実になりかねない。ドイツ連銀は輸送にカネがかかる、
各地に置いておく方がいざ売却の時やりやすい、などと海外に金を
預けておく理由をあげているが、説得力はない。
今回ドイツの金騒動を取り上げたのは、ドイツ人の心配性を
からかおうというのではない。「何でもあり」の放恣(ほうし)な
金融政策を続けたため、米英仏の中銀の信用毀損(きそん)が
始まっている。その事実の深刻さをよくよく考えてほしいのである。
(専門編集委員)
参考 英テレグラフ紙
Bundesbank to pull gold from New York and Paris in watershed moment
<sui−setsu>
ドイツという国はなにごとについてもきちんとするのが国民性であるが、
ドイツ連邦会計検査院の今度の要求には感心させられた。
ドイツは冷戦期に、旧ソ連の侵攻にそなえて、保有する金を米国、英国、
フランスに分散保管してもらった。その保管状況について定期的に検査
すべきだというのである。何でもない要求のように聞こえるが、非常に
重大な疑念の表明である。
「彼らはまさか、ドイツの金を売り払ったり、鉛をまぜて変造し
純金分をかすめとったりしていないだろうね」。そう言外に言っている。
ドイツは3996トンの金を保有する。米国に次いで世界2位。このうち
1536トンを米国に、450トンを英国に、374トンをフランスに預けて
いると言われる。
確かにニューヨーク連銀の秘密主義は徹底していて、ドイツ連銀の
担当官が金をチェックに行っても十分には見せてくれないようだ。
自分の金なのになぜチェックできないのだ、という検査院の不満、
懸念はもっともである。
ドイツ連銀は各中央銀行からは毎年、金は適正に保管されている旨の
報告があり、それで十分だと主張していた。中銀同士が相手を信用
しなくなったら、資本主義は終わりじゃないか、と。
しかし、ドイツ政界で問題視され圧力が強まった。海外の金を全部
本国に取り戻せ、という政治運動も活発化している。英国がゴードン・
ブラウン蔵相のとき、財政難で400トンもの保有金を売却し正気を
疑われたが、それも尾を引いているようだ。
こうした声を無視できなくなり、結局今後3年間、毎年50トンの
金塊をニューヨーク連銀からドイツ連銀に移送することになった。
溶解して品位の検査もするらしい。
この騒動の背景にあるのは欧州の共通通貨ユーロの危機である。
「ユーロ崩壊」がないとはいえない現状である。頼りになるのは金。
ドイツ人が大事な金を外国より自国に置いておきたいのは当然だ。
それだけに、仮にドイツが海外の金の全量引き揚げに動いたら、
ユーロ崩壊が現実になりかねない。ドイツ連銀は輸送にカネがかかる、
各地に置いておく方がいざ売却の時やりやすい、などと海外に金を
預けておく理由をあげているが、説得力はない。
今回ドイツの金騒動を取り上げたのは、ドイツ人の心配性を
からかおうというのではない。「何でもあり」の放恣(ほうし)な
金融政策を続けたため、米英仏の中銀の信用毀損(きそん)が
始まっている。その事実の深刻さをよくよく考えてほしいのである。
(専門編集委員)
参考 英テレグラフ紙
Bundesbank to pull gold from New York and Paris in watershed moment