尋ね人の時間(新井満著)読了。
作品が発表されたのは、バブル経済真っ只中。
高度経済成長を遂げた後、方向性を失って、彷徨っていく日本
の雰囲気が漂っていました。
文章は映像のように流れ、特に第三章の「井戸」は美しかった。
空井戸から紋白蝶のしかばねや色紙が舞い上がってくるシーンには
圧倒されました。
主人公神島の娘・月子は今頃どんな大人になっているんだろね。
レインボーブライドパレードに、つなぎのジーンズを着て参加
しているか、それとも画家になって絵を描いているか。
昨年12月新井満さんが亡くなったとニュースで知りました。
若い頃電通神戸支社に勤務されていて、市内の新興住宅地にお住まい
でした。新井さんと同じバスで通学する女子中高生の間では、
でした。新井さんと同じバスで通学する女子中高生の間では、
「あのカッコいい人はいったい誰だろう」と噂になった程です。
ちょうどその頃でしょうか、新井さんが歌唱したカネボウのCMソング
「ワインカラーのときめき」がヒットして、女子中高生のボルテージは
上がりっぱなしでした。
中学のクラスメートのFさんは、新井さんの家の斜向かいに住んでいて、
新井さんにサインをもらったと、大喜びで話していました。
Fさん、今も色紙持っているかな。