夭折の画家 佐伯祐三と妻・米子(稲葉有著)
画家佐伯祐三とその妻米子の関係について書かれた本です。
稲葉氏が資料を丹念に検証した結果、佐伯祐三の作品に米子が
加筆していたのは確かだ、と思いました。
「米子ハンが仕上げしてくれはるけどわし自分の画が見えんやふに
なってしもふてそれは さびしゐです は」(佐伯祐三から吉薗周蔵
なってしもふてそれは さびしゐです は」(佐伯祐三から吉薗周蔵
に宛てた手紙)
ただ、佐伯と娘の彌智子の死因については、よくわかりません。
米子が殺鼠剤を買ったことが事実でも、それを盛ったかどうかは
別問題です。
本書で一番興味をそそられたのが、佐伯祐三の「スポンサーで
黒幕のような人物」として紹介されている吉薗周蔵のこと。
吉薗は陸軍の諜報活動の任務を与えられ、当時パリに居住している
日本人の活動、とりわけ薩摩治郎八の行動を探っていたらしい。
のちに祐三がパリから吉薗周蔵に送った絵画が自治体を巻き込む
真贋論争に発展してしまったことも、興味がつのる理由です。
真贋論争に発展してしまったことも、興味がつのる理由です。